#0113) BURNIN' / John Lee Hooker 【1962年リリース】

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このブログではごく稀にブルースのアーティストを取り上げることがあるが、筆者がブルース・リスナーではなくロック・リスナーなので、ロックと関わりの深いブルースのアーティストを取り上げてきている。


うっかり「ロックと関わりの深いブルース」と書いてしまったが、そもそもロックとはブルースの息子なので、特にロック黎明期においてはブルースの影響を受けていないロックを探す方が難しい。


THE ROLLING STONESザ・ローリング・ストーンズ〕のKeith Richards〔キース・リチャーズ〕が「ブルースを知らないなら、ギターを手にし、ロックン・ロールをプレイする意味はない」と言っていたが、確かにこれは一理ある。


今回取り上げるJohn Lee Hooker〔ジョン・リー・フッカー〕もロック・ファンにはかなりお馴染みのブルース・マンなのではないだろうか。


John Lee Hookerは1917年生まれ(日本の元号で言うと大正6年生まれ)で、1948年にシングル"Boogie Chillen'"リリースしてから、2001年に亡くなるまでの間、多くのアルバムをリリースしているので、筆者もまだほんの一部しか聴いていないのだが、今回取り上げる「BURNIN'」は彼の代表曲である"Boom Boom"で幕を開けるアルバムなので、最初に聴くJohn Lee Hookerというアーティストのアルバムとしては最適であろう。


このアルバムはヴィージェイ・レコードからリリースされた4枚目のアルバムであり、同レーベルからの1枚目である「I'M JOHN LEE HOOKER」と並んで人気の高いアルバムだ。


John Lee Hookerの曲の中でも"Boom Boom"はTHE ANIMALS〔ジ・アニマルズ〕がカヴァーしているので、ロック・ファンにとっても知名度の高い曲である。


筆者はロック、中でもとりわけロックン・ロールを聴く時と、ブルースを聴く時は気持ち違いが殆ど無い。


これがジャズを聴く時、クラシックを聴く時、歌謡曲を聴く時などは、ロックを聴く時とは明確に異なる気持ちで聴いている。


とにかく筆者にとって、ブルースとロックン・ロールの境目というのは極めて曖昧なのである。


ブルース・マンの中でもJohn Lee Hookerは殊更ロックン・ロールとの距離が近いような気がする。


King Of Boogieと言われ、その孤高のスタイルを貫き通す姿勢にはロックン・ロールと相通ずるところがあるのだ。


もしかすると、本格的なブルース・リスナーにとってはJohn Lee Hookerとロックン・ロールにはかなりの距離があるのかもしれないが、筆者にとってJohn Lee Hookerとはブルース・マンであると共にロックン・ローラーであり、「BURNIN'」というアルバムもブルース・レコードであると共にロックン・ロールの名盤なのである。


最後に余談だが、John Lee Hookerという名前、字面も音の響きも異常にカッコ良いと感じるのは筆者だけだろうか?

 

#0112) THE VELVET UNDERGROUND & NICO / THE VELVET UNDERGROUND & NICO 【1967年リリース】

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THE VELVET UNDERGROUND〔ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド〕と言えば、今回取り上げたバナナのジャケットで有名な1stアルバム「THE VELVET UNDERGROUND & NICO」が有名だが、このアルバムは正式にはTHE VELVET UNDERGROUND & NICO〔ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドニコ〕のアルバムである。


このアルバムは、プロデューサーであるAndy Warholアンディ・ウォーホル〕からゴリ押しされる形でドイツ出身(一説ではハンガリー出身)のNico〔ニコ〕をゲストに迎えて制作されたアルバムであり、いくつかの曲でNicoがリード・ヴォーカルを取っている。


THE VELVET UNDERGROUNDのパブリック・イメージであるダークでアヴァンギャルドなイメージを鵜呑みにしている人が、この1stアルバム「THE VELVET UNDERGROUND & NICO」を聴いた場合、一曲目の"Sunday Morning"が流れた瞬間、少し戸惑うのではないだろうか?


牧歌的な雰囲気を持つ美しいメロディの"Sunday Morning"は、THE VELVET UNDERGROUNDのパブリック・イメージとは、かなりかけ離れた曲である。


このアルバムはロックをアートにまで高めた金字塔と言われている作品だが、実はけっこうメロディアスで聴き易い曲が多いのである。


確かに、時折、このバンドの本質とも言えるアヴァンギャルドな狂気が溢れる曲も出てくるのだが、メロディアスで聴き易い曲の間に挟まれていたりするので、意外なほどすんなりと聴けてしまう。


THE VELVET UNDERGROUNDというバンドのパブリック・イメージでもあるダークでアヴァンギャルドなアルバムは、実は2ndアルバム「WHITE LIGHT/WHITE HEAT」の方であり、今回取り上げた1stアルバム「THE VELVET UNDERGROUND & NICO」は、そのアーティスト名/アルバム名の通り、半分くらいNicoのアルバムなのである。


曲作りの中心を担うLou Reedルー・リード〕も、Andy Warholの顔色を伺いながらNicoに寄せた曲作りを行っているように感じられる(実際にはNicoを迎える前に作っていた曲もあるのかもしれないが)。


今ではロックの名盤となっているこのアルバムは売れなかった。


アルバムがリリースされた時には既にNicoはバンドから離れていたのだが、もし、美しい容姿を持つNicoがバンドに残り、Nicoをフューチャーする形でライヴ活動を行っていたら、このアルバムはもっと売れたのではないだろうか?


そうなると、2ndアルバムはアヴァンギャルドな「WHITE LIGHT/WHITE HEAT」ではなく、もっと美しいガール・ポップ的な作品になっていたのかもしれないが、そういうアルバムも聴いてみたかったような気がする。

 

#0111) DESERT ORCHID / CRAZYHEAD 【1988年リリース】

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筆者がこのブログで使っているID「DesertOrchid」とは、今回取り上げたCRAZYHEAD〔クレイジーヘッド〕の1stアルバム「DESERT ORCHID」から拝借している。


現在、Amazon Music Unlimitedでこのアルバムを検索すると上の画像がアルバム・ジャケットとして表示されるのだが、過去に筆者が買った日本盤のアルバム・ジャケットは下の画像だった。

 

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自分のIDとしてタイトルを拝借しているアルバムなのでそれなりに思い入れはあるのだが、単純に「Desert(デザート/砂漠)」、「Orchid (オーキッド/蘭)」という言葉や音が気に入っている。


ちなみに、Desert Orchidとは1983年から1991年に活躍した英国の競走馬の名前であり、Dessie〔デジー〕という愛称で親しまれている。


さて、CRAZYHEADの1stアルバムとしての「DESERT ORCHID」だが、簡単に言ってしまえば「パンクからの影響が強く、ハード・ロックからの影響も少なからず感じられるロックン・ロール」である。


当時、THE GODFATHERS〔ザ・ゴッドファーザーズ〕の「BIRTH, SCHOOL, WORK, DEATH」、ZODIAC MINDWARP & THE LOVE REACTION〔ゾディアック・マインドワープ&ザ・ラブ・リアクション〕の「TATTOOED BEAT MESSIAH」と共に愛聴したアルバムなのだが、今、調べてみたところこの三枚は全て1988年にリリースされている。


この頃の筆者は、大好きだったHANOI ROCKSハノイ・ロックス〕が1985年に解散したことにより、HANOI ROCKSの不在を埋めてくれるロックン・ロール・バンドを探していた時期であり、その候補の一つとして聴いていたバンドがCRAZYHEADだった。


結局、HANOI ROCKSの不在を埋めてくれたのはTHE DOGS D'AMOUR〔ザ・ドッグス・ダムール〕だったのだが(THE DOGS D'AMOURの「IN THE DYNAMITE JET SALOON」も1988年のリリースである)、CRAZYHEADにも一時期はかなり入れ込み、「DESERT ORCHID」も毎日のように聴いたものである。


だいぶ永いこと聴いていなかったのだが、今回これを書くにあたり久しぶりに聴いてみた。


当時はノイジーなバンドという印象があったのだが、今、改めて聴くと、けっこうしっかりとしたメロディがあって、意外とポップだ。


時折、ハード・ロック風のギター・ソロが出てきたりもする。


このアルバムがリリースされたのは1988年であり、ロックの世界ではこの頃からパンクとハード・ロック/ヘヴィ・メタルの垣根がなくなりつつあり、CRAZYHEADというバンドの音楽性にもその傾向が顕れている。


けして、ロックの歴史に刻まれるようなバンドでもなければ名盤でもない。


しかし、このアルバムを聴いていると、パンクとハード・ロック/ヘヴィ・メタルの両方好きだということが御法度ではなくなる時代の到来を感じ取ることができる。

 

#0110) DREAMS / NICKEY & THE WARRIORS 【1987年リリース】

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このブログでは日本のアーティストを殆ど取り上げていないので、今日は日本が誇る最高のロックン・ロール・バンドNICKEY & THE WARRIORSの1stアルバム「DREAMS」を取り上げてみる。


日本のアーティストを取り上げるのは#0051の騒音寺以来である。


実は、筆者は日本のロック・シーンへの知識が浅い。


筆者と同じくらいの世代の人(2018年現在でアラフィフ以上の人)は、筆者と同様、洋楽ロックには詳しいが、邦楽ロックには疎いという人が多いのではないだろうか?


筆者がロックを聴き始めた1980年代初期は、ロックと言えば洋楽だった。


ロック雑誌も洋楽雑誌ばかりで、邦楽雑誌というのは無かったような気がする(筆者が知らないだけかもしれないが)。


洋楽ロックの最盛期というのは1980年代までなのだろうか?


とにかく、当時は次から次へと英米からジャンルを問わず刺激的なアーティストが登場し、それらのアーティストの新譜を追いかけるのに必死だった。


それに加えて「ロックの名盤」と言われる旧譜も追いかけ始めたことで、とてもではないが邦楽ロックのアーティストまで追いかけれるほどの金銭的な余裕が残っていなかった。


筆者が邦楽ロックをまともに聴き始めたのは高校生の時に同級生のK君と仲良くなってからである。


K君はパンク少年で、日本のパンク・バンドに詳しかった。


筆者がK君に洋楽ロックの音源をカセット・テープに録音してあげると、K君は筆者に邦楽ロックの音源をカセット・テープに録音してくれたのである。


そのK君から教えてもらった日本のバンドにはTHE STALIN、LAUGHIN' NOSE、KENZI & THE TRIPS等があるのだが、筆者が最も気に入ったのが今回取り上げたNICKEY & THE WARRIORS だ。


彼女(彼ら)の1stアルバム「DREAMS」から聴こえてくるRAMONESや初期のTHE DAMNEDにも通ずる、激しく、ストレートで、それでいてポップなNICKEY & THE WARRIORS の音に完全にやられてしまったのである。


間違いなくロックン・ロールを愛していることが明確に聴き手に伝わるNickey〔ニッキー〕の歌、荒々しさと繊細さを併せ持つツボを押させた演奏、その全てがカッコ良かった。


可愛くてセクシーなシンガー/フロント・ウーマンNickeyと、バックを固める厳つい3人の楽器隊というヴィジュアルも最高だった。


当時の洋楽ロックのリスナーは邦楽ロックに対し、少なからず下に見るような偏見を持つ人が多く、実は筆者もその一人だったのだが、NICKEY & THE WARRIORS の「DREAMS」を聴いて、そんな偏見は木っ端微塵に吹き飛んでしまった。


その後、今日に至るまで色々な邦楽ロックを聴くようになったが、歌にしろ、パフォーマンスにしろ、ヴィジュアルにしろ、邦楽ロックでNickey以上の女性アーティストには未だ出会えていない。


「以上」なので並ぶ人もいないという意味である。


筆者は女性アーティストと男性アーティストには、それぞれ異なる魅力があると思うので、あえて「女性アーティスト」と書かせてもらっている。


「カッコ良い女性アーティストだな」と思うことは多々あるのだが、その後直ぐに「Nickey未満なのは仕方がない」と思うようになってしまった。

 

#0109) GOLDEN STATE / BUSH 【2001年リリース】

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BUSHというバンドは1994年に1stアルバムの「SIXTEEN STONE」をリリースしているので、グランジ/オルタナティヴのムーヴメントが沈静化した頃のデビューと言って差し支えないだろう。


「SIXTEEN STONE」はマルチプラチナに認定されたアルバムなので、BUSHはかなり大きな成功を収めたバンドなのだが、彼らのデビュー当時、ここ日本では洋楽雑誌で殆ど取り上げられていなかったように記憶している。


筆者は毎月、洋楽雑誌を買って、かなり細かくチェックするロック・リスナーだったのだが、彼らがデビューした1990年代中期と言えば筆者が徐々にロックへの興味を失いつつあった時期と重なっている。


故に、BUSHというバンドのことを知ってはいたのだが音源をチェックするまでには至らなかったのだろう。


筆者がBUSHを聴くようになったのは、この一年くらいのことである。


切っ掛けは、愛読しているブログ「SMELLS LIKE PUNK SPIRIT」で彼らの音源を聴いたからである。


「カッコ良いバンドを見逃していたな」という痛恨の思いだった。


BUSHのことを知りたいのであれば、筆者のブログを読むよりも「SMELLS LIKE PUNK SPIRIT」にBUSHの1stから4thまでのアルバムに関する記事があるのでそちらを読んで頂いた方が良い。


1stアルバム「SIXTEEN STONE」
2ndアルバム「RAZORBLADE SUITCASE」
3rdアルバム「THE SCIENCE OF THINGS」
4thアルバム「GOLDEN STATE」


まぁ、それでは味も素っ気もないので自分なりの文章を書くことにする。


このバンドはデビュー当時にNIRVANAニルヴァーナ〕フォロワーという扱われ方をされて、けっこう音楽評論家から叩かれたらしい。


Googleで検索すると、けっこう辛辣なことを書いてあるサイトもあった。


Amazonで1stアルバムの「SIXTEEN STONE」をさほど高くない価格で購入出来たので聴いてみたのだが、筆者の感想としては、「NIRVANAからの影響はありそやけど、そこまで似てへんやないか」である。


ロック・バンドを始めると、先人からの影響を受けるのはもちろんだが、同時代の優れたバンドからの影響も受けるものである。


デビュー当時のTHE CHARLATANS〔ザ・シャーラタンズ〕はどう聴いてもTHE STONE ROSESザ・ストーン・ローゼズ〕の影響を受けていたし、世界的なスターになる前のU2〔ユートゥー〕は間違いなくECHO & THE BUNNYMEN〔エコー&ザ・バニーメン〕を意識していた。


そもそもロック・バンドなんて、最初は誰かのエピゴーネンから始まるものだ。


真似をしたら偽物だと言うのなら、ロックはChuck Berryチャック・ベリー〕以外は全て偽物ということになってしまう。


それを踏まえてあえてもう一度書くが、デビュー当時のBUSHはNIRVANAからの影響はあるが、叩かれるほどNIRVANAに似ていないし、既にオリジナテイティも確立されている。


それでも「NIRVANA云々」と言うのであれば、今回取り上げた4thアルバムの「GOLDEN STATE」を聴いてほしい。


BUSHのアルバムは4thまでは聴いているのだが、その中では「GOLDEN STATE」が一番気に入っている。


"Reasons"の不安と心地よさを行ったり来たりするような不思議な音階には鳥肌が立つほどの凄まじさがあり、"Float"の心の暗部をえぐるような深みのあるヴォーカルを聴いていると、このアルバムを聴き終えた後に現実に引き戻されるのが辛くなる。


これはもう、2000年代を代表する名盤であり、BUSHというバンド、そして、Gavin Rossdale〔ギャヴィン・ロスデイル〕というソングライターが辿り着いた到達点のようなアルバムである。


このアルバムについて語るとき、「NIRVANA云々」という話は不要である。