#0008) MIRROR MOVES / THE PSYCHEDELIC FURS 【1984年リリース】

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最も聴いたアルバムは何かと考えてみた。


いくつか候補はあるが、今回取り上げたTHE PSYCHEDELIC FURS〔ザ・サイケデリック・ファーズ〕の4thアルバム「MIRROR MOVES」は確実にその候補に上がる作品だ。


やりたくない受験勉強をしている頃、その合間に「MIRROR MOVES」を聴き、歌詞カードを見ながら一緒に歌うことが当時の筆者の唯一の楽しみだった。


THE PSYCHEDELIC FURSを知ったきっかけは、音楽雑誌「音楽専科」に載っていたDURAN DURANデュラン・デュラン〕のJohn Taylorジョン・テイラー〕のインタビュー記事で、彼がその年の最も好きなアルバムとして「MIRROR MOVES」を上げていたからだ。


それ以前にも筆者はDURAN DURANのメンバーがインタビューで語っていた、彼らが影響を受けたミュージシャン、例えばDavid Bowieデヴィッド・ボウイ〕やROXY MUSICロキシー・ミュージック〕に嵌まることが多かったので、なけなしのお小遣いで「MIRROR MOVES」を買いに走った。


THE PSYCHEDELIC FURSは、1970年代後半から1980年代前半に英国で勃興したポストパンク~ニュー・ウェーヴのムーヴメントから出てきたバンドだが、このムーヴメントから出てきた他のバンドがロック・スター的な姿勢を否定することが多かった時代に、積極的にロック・スターに駆け上がっていったバンドだった。


しかし、彼らは中身のない軽薄なロック・スターになったわけではない。


彼らが影響を受けているであろうTHE VELVET UNDERGROUND〔ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド〕やDavid Bowieに通ずる知性を残しながらロック・スターになった。


その姿は筆者の目にはとても美しく映った。


「MIRROR MOVES」は一聴すると1980年代的なシンセポップに聴こえるのだが、初期のTHE PSYCHEDELIC FURSが持っていたアート・パンク的な要素もしっかりと残っている。


アーティスティックな姿勢も残しながら、メイン・ストリームに接近した作品であり、このバランスが実に絶妙だ。


これが、次作の「MIDNIGHT TO MIDNIGHT」になるとバランスが崩れてしまい、普通のポップ・ロックになってしまう。


言うなれば「MIRROR MOVES」はその一歩手前、果実が腐る一歩手前の爛熟した甘さがこのアルバムの魅力だ。