だいぶ前のことになるが、ぶらりと入ったタワーレコードで偶然見つけたCDが今回取り上げるTHE QUIREBOYS〔ザ・クワイアボーイズ〕の3rdアルバム「THIS IS ROCK'N'ROLL」だ。
「えっ、もしかして再結成?」
衝動的にレジに持っていき購入。
後から調べて判ったのだが、再結成後の最初のアルバムだった。
正直に言うと、THE QUIREBOYSについては、それほど好きという訳ではない。
1990年リリースの1stアルバム「A BIT OF WHAT YOU FANCY」をリアルタイムで買っていたが、筆者にとって、このバンドは個性の感じられないバンドだった。
彼らの影響源の殆どがFACES〔フェイセズ〕で、ほんの少しだけ米国南部音楽に傾倒していた頃のTHE ROLLING STONES〔ザ・ローリング・ストーンズ〕が入っていると言い切っても過言ではないだろう。
同時期に英国で活動していたロックン・ロール・バンドとしては、同じようにSTONES とFACESの影響を受けつつも、THE ONLY ONES〔ジ・オンリー・ワンズ〕から影響を受けたポップなメロディや、Charles Bukowski〔チャールズ・ブコウスキー〕から影響を受けた文学的な歌詞が個性的だったTHE DOGS D'AMOUR〔ザ・ドッグス・ダムール〕の方が圧倒的に好きだった。
そう言えば、デンマークのD-A-D〔ディー・エー・ディー〕も同時期のバンドだが、西部劇風のテイストを導入したパンク(カウパンク?)とAC/DC〔エーシー・ディーシー〕のハイブリッドみたいでTHE QUIREBOYSよりも断然好きだった。
かようにTHE QUIREBOYSとは、筆者にとってお気に入りの上位に位置するバンドではなかったのである。
それが何故、彼らの復活作を衝動的に買ってしまったのかとうと、憎からず思っていたが行方不明になっていた古い友人に偶然会ったかのような、そんなノスタルジアが刺激されたからである。
そして、それほど期待せずに聴いた彼らの復活作から流れ出る音楽がとても良かった。
相変わらず、「殆どFACES、少しだけSTONES」という音楽性は全く変わっていない。
しかし、それもやり続けることで、見事な芸となっている。
彼らの場合、歌も演奏も曲も、デビュー当時より、むしろ復活してからの方が良い。
「継続は力なり」とはこういうことなのかもしれないと思った。