Amazon Music Unlimitedを契約してから確実にCDを買う機会が減った。
それどころか、CDで持っているアルバムもAmazon Music Unlimitedで聴くようになってきた。
聴きたいCDをCDラックから取り出す必要がなく、聴き終わってからも、そのCDをCDラックに戻す必要がなく、とにかく楽なのである。
今回取り上げたSTONE TEMPLE PILOTS〔ストーン・テンプル・パイロッツ〕の2ndアルバム「PURPLE」もCDで持っているにも関わらず、最近Amazon Music Unlimitedで聴きまくっているアルバムである。
所謂(いわゆる)グランジにカテゴライズされているバンドだが、このバンドにはグランジらしさは殆ど無い。
グランジの語源は「汚れた」という意味の「grungy」からきているらしいが、STONE TEMPLE PILOTS の音楽やイメージにはgrungyな印象はい。
むしろ、煌びやかでセクシーなロックン・ロール・バンドという印象が強い。
特にシンガーのScott Weiland〔スコット・ウェイランド〕はDavid Bowie〔デヴィッド・ボウイ〕にも通ずる美麗なルックスの持ち主であり、バンドのデビュー当時こそ少々汚い服を着てはいたが、徐々に洗練されてゆき、ソロ・アルバムを出した頃からは開き直ったかのように王道のロック・スター的な風貌に変わっていった。
きっと、持って生まれたグラマラスは隠そうとしても隠し切れなかったのだろう。
音楽の方もグランジの頂点であるNIRVANA〔ニルヴァーナ〕よりも、80年代型ハード・ロックの雄であるGUNS N' ROSES〔ガンズ・アンド・ローゼズ〕に近い。
特に今回取り上げた「PURPLE」は彼らのハード・ロック・バンドとしての側面が最も色濃く顕れたアルバムであり、耳にこびりつくドラマティックな歌メロと職人的に上手いギター・リフ、そしてシンプルでありながら異様な重さを撒き散らすリズム隊は、やはりグランジというよりはハード・ロックである。
「PURPLE」を聴いていて思うのは、メンバー全員が技巧派揃いであり、どんな音楽でも演奏できる実に巧いバンドだということだ。
アルバムの最後に隠しトラックとして収録されている"My Second Album"はScott Weiland がFrank Sinatra〔フランク・シナトラ〕のようなポピュラー歌手風に歌い上げるラウンジ・ソングであり、これを最後に聴けるのもこのアルバムを聴く時の楽しみの一つである。
筆者はテクニック至上主義という訳ではないが、STONE TEMPLE PILOTSというバンドは、お金を払って聴く価値のあるプロフェッショナルなスキルを持ったバンドだと強く感じている。