筆者が若かりし頃(1980年代)の音楽の情報源の殆どは洋楽雑誌だった。
毎月、MUSIC LIFE、音楽専科、rockin'on、BURRN!、CROSSBEATを欠かさず購入し、新譜の紹介ページや過去の名盤特集を食い入るように読んだものである。
そして、雑誌以外の情報源となると、テレビとラジオの洋楽番組や、友達とのレコードやCDの貸し借りである。
これくらいしか無かった。
今回取り上げたJOHN MAYALL & THE BLUESBREAKERS〔ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ〕のアルバム「BLUES BREAKERS WITH ERIC CLAPTON」は、筆者が学生時代に同じバイト先のA君から教えてもらったアルバムである。
筆者がA君にTHE BLACK CROWES〔ザ・ブラック・クロウズ〕の1stと2ndアルバムを貸してあげたところ、そのお礼にと言ってA君が筆者に貸してくれたのがこの「BLUES BREAKERS WITH ERIC CLAPTON」だった。
このアルバムの聴きどころは言うまでもなく、タイトルに「WITH ERIC CLAPTON」と入っているとおり、Eric Clapton〔エリック・クラプトン〕のギターがこれでもかと言うほどフィーチャーされている点だろう。
元々ブルース・バンドとしてスタートしたTHE YARDBIRDSがシングル"For Your Love"でポップ路線に舵を切ると、「こんのもん、演ってられるか!」と言って(言っていないかもしれないが)バンドを脱退、辿り着いた先が英国ブルースの名門であるTHE BLUESBREAKERSだった。
Eric Claptonと言えば、たぶん、解り易いヒット作の有るCREAM〔クリーム〕やDEREK & THE DOMINOS〔デレク&ザ・ドミノス〕の方が有名であろう。
人によってはヒットメイカーBabyface〔ベイビーフェイス〕のプロデュースによる"Change The World"を歌う渋いオジ様なのかもしれない。
当時の筆者もロックの名盤を追いかける過程でCREAMやDEREK & THE DOMINOSにも出会い愛聴していたが、THE BLUESBREAKERSにはまだ手を出していなかった。
THE BLUESBREAKERSはブルース・ロックというよりはブルースそのものであり、当時の筆者にはホワイト・ブルース(白人のブルース)は「偽物」という偏見があったからだ。
しかし、「BLUES BREAKERS WITH ERIC CLAPTON」を聴いて、そんな偏見も吹っ飛んだ。
このアルバムで演奏されているブルースはかなり黒い。
そして、何よりEric Claptonのギターが良い。
THE YARDBIRDSでブルースを弾けなくなった時の鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような、凄まじい弾きっぷりである。
ちょっと弾きすぎかなと思うくらい弾いている。
A君のおかげで、筆者は一円の出費もなく、何のリスクもなく、このアルバムに出会うことが出来た。
今ではもう会えなくなってしまったA君に「ありがとう」と言いたい。