可能であれば、まず、検索エンジンでTHE HOUSEMARTINS〔ザ・ハウスマーティンズ〕のメンバー写真を探して見て頂きたい。
とにかく「普通」なのである。
けして、男前ではない。
かと言って、ブサイクでもない。
とてもじゃないが、ロック・バンドのメンバーには見えない「普通」の青年達である。
そんな「普通」に見える青年達が、とんでもなく「普通ではない」エバーグリーンなポップ・ソングを書いてしまった。
それが今回取り上げたTHE HOUSEMARTINSの1stアルバム「LONDON 0 HULL 4」である。
アルバム・タイトルの「LONDON 0 HULL 4」とは、フットボールのスコアで、ロンドンが0点で、彼らの地元のハルが4点ということだそうだ。
THE HOUSEMARTINSを知ったきっかけはラジオだったと記憶している。
このアルバムの日本盤はまだリリースされていなかったのだが、その番組のDJが推しまくっていて、オンエアされた曲が素晴らしくポップだったので、筆者のTHE HOUSEMARTINSへの期待は弥が上にも盛り上がった。
間もなく日本盤もリリースされ、当時愛読していたMUSIC LIFEの新譜レビューでの評価も高かったので、お小遣いをはたいて購入すると、たちまち愛聴盤になった。
目新しさなんて何もないのだが、とにかくポップでメロディが素晴らしい。
「瑞々しい」という言葉も当てはまるだろう。
そして、こう言っては失礼だが、歌がとても巧い。
それも、リード・ヴォーカルだけが巧いのではなく、コーラスも素晴らしいのである。
このアルバムの収録曲ではないのだが、後にアカペラ・アレンジでカバーしたISLEY-JASPER-ISLEY〔アイズレー・ジャスパー・アイズレー〕の"Caravan Of Love"は全英1位になるほどであり、その歌の巧さは英国のリスナーに認められている。
しかしながら、THE HOUSEMARTINSは2枚のアルバムを残しって、あっけなく解散した。
解散後、ヴォーカルのPaul Heaton〔ポール・ヒートン〕は英国の国民的バンドとなるTHE BEAUTIFUL SOUTH〔ザ・ビューティフル・サウス〕を結成し、ベースのNorman Cook 〔ノーマン・クック〕はFATBOY SLIMとなって英国のビッグ・ビートを代表するアーティストになった。