#0041) RELAPSE / THE LONDON COWBOYS 【2008年リリース】

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このブログでは、好きなアーティストの好きなアルバムを1枚取り上げて、あれやこれやと駄文を書いているのだが、取り上げるアルバムは編集盤ではなく、なるべくスタジオ盤のオリジナル・アルバムにしている。


確かにグレイテスト・ヒッツやコンピレーション・アルバム等の編集盤は、手っ取り早くそのアーティストの優れた楽曲を楽しめて便利なのだが、あまりアーティスト側の意向が反映されていないような気がするからだ。


しかし、編集盤を取り上げざるをえないアーティストもいる。


その一つが今回取り上げるTHE LONDON COWBOYS〔ザ・ロンドン・カウボーイズ〕だ。


一応、1982年に「ANIMAL PLEASURE」、1984年に「TALL IN THE SADDLE」という2枚のスタジオ・アルバムをUnderdog〔アンダードッグ〕というインディー・レーベルからリリースしているのだが、この先、これらが再発される気配は無い。


そこで、今回取り上げるのが、2008年にリリースされた2枚組のコンピレーション・アルバム「RELAPSE」だ。


今、Amazonで調べてみたところ、2018年3月現在で、まだCDも入手可能なようだし、ストリーミングも出来る。


と、長々と書いてみたものの、THE LONDON COWBOYSを知っている人って、いったい何人くらい居るんだろうって考えてしまう。


このブログで取り上げてきたアーティストの中では、たぶん最もマイナーなアーティストなのではないだろうか?


筆者がTHE LONDON COWBOYSを知ったのは、彼らがモリ・ハナエのファッションショーのモデル&ライブパフォーマーとして来日した時に掲載されたインタビュー記事だ(掲載された雑誌は音楽専科だったと思うのだが記憶が曖昧だ)。


先ず、インタビュー記事と共に掲載されていたバンドのヴィジュアルが良かった。


あきらかにNEW YORK DOLLSニューヨーク・ドールズ〕やTHE HEARTBREAKERS〔ザ・ハートブレイカーズ〕が持つロックン・ロールの系譜を受け継ぐ風貌であり、その手のバンドに目が無い筆者は一瞬で心を奪われていた。


そして、後から判ったのだが、このバンド、そもそもの始まりが、半分くらいNEW YORK DOLLSなのである。


THE LONDON COWBOYSは、このバンドの中心メンバーであるSteve Dior〔スティーヴ・ディオール〕(vocals)とBarry Jones〔バリー・ジョーンズ〕(guitars)が元NEW YORK DOLLSのJerry Nolan〔ジェリー・ノーラン〕(drums)と組んだTHE IDOLS〔ジ・アイドルズ〕が母体である。


そして、そのTHE IDOLSがあっけなく解散した後、アップデートされるような形で出来上がったのがTHE LONDON COWBOYSだ。


Steve DiorとBarry Jones以外のメンバーは目まぐるしく変わっているのだが、実は短期間だが元NEW YORK DOLLSのArthur Kane〔アーサー・ケイン〕(bass)も在籍していた。


まさに、半分NEW YORK DOLLSであり、その最も正当な後継者である。


では、音の方もまるっきりNEW YORK DOLLSなのかと言うと、これがけっこう違うから面白い。


ストレートなロックン・ロールという意味では確かにNEW YORK DOLLS を継承しているのだが、THE LONDON COWBOYS の音にはSteve DiorとBarry Jonesの英国人としての気質がかなり色濃く反映されている。


上手い例えではないかもしれないが、「ニューヨークの喧騒」というよりは「ロンドンの曇り空」が似合うロックン・ロールなのである。


そして、何よりも筆者がこのバンドにシンパシーを感じるのは、白人のSteve Diorと黒人のBarry Jonesが、何の屈託もなく普通に自然に一緒にロックン・ロールを演奏していることだ。

 

ポピュラー・ミュージックの世界は、いつの間にか白人はR&R、Rock、Heavy Metal等々、黒人はR&B、Soul、Hip Pop等々、というお仕着せの住み分けが出来てしまった。


しかし、THE LONDON COWBOYSは「そんな住み分けなんて意味がない」と言うかのごとく、白人と黒人が当たり前のように同じバンドでロックン・ロールを演奏していた。


これは、とても素敵なことである。