#0045) DIXIE CHICKEN / LITTLE FEAT 【1973年リリース】

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筆者がロックを聴き始めた頃(1980年代前半)、聴きたいアーティストを探す情報源の殆どは書籍だった。


書籍の中でも「MUSIC LIFE」や「音楽専科」等、月刊誌からの情報収集が主で、500円くらいするこれらの雑誌を毎月購入しては読み耽っていたのだが、雑誌というのは「今、売れているアーティスト」や「これから売れそうなアーティスト」を取り上げるのが主流であり、「過去のアーティスト」に割かれるページは少ない。


それら「過去のアーティスト」を知りたい時に極めて重要な情報源となるのが、当時よく刊行されていた「ロック辞典」のような書籍である。


これらの「ロック辞典」は、ページ番号の小さい方からABC順にアーティストが並べられており、さらにアーティスト毎に各アルバムがリリース年の古い順に並べられている。


そして、各アルバムには音楽評論家の批評が書かれているという形式だ。


ただし、この「ロック辞典」、雑誌に比べるとかなり高く、3000円くらいの価格が付けられていた。


当時、十代半ばだった筆者は、この「ロック辞典」にはなかなか手が出せなかったのだが、お年玉を使ってようやく購入できた。


そして、その「ロック辞典」を毎日のように読み漁り、強烈に魅かれたバンドがLITTLE FEATリトル・フィート〕だった。


魅かれた理由は色々あるのだが、批評として書かれていた、「アメリカン・ルーツ・ミュージックからの影響云々」という文言にも魅かれたのだが、それ以上に、Neon Parkネオン・パーク〕によって描かれたアルバム・ジャケットが独特で、「こんな気色悪い絵をアルバム・ジャケットに採用するなんて、この連中はただ物ではない」という気配が感じられたからだ。


しかし、当時、よく行っていた日本盤を取り扱うレコード店には、同じウェストコースト・ロックでもEAGLESイーグルス〕やTHE DOOBIE BROTHERS〔ザ・ドゥービー・ブラザーズ〕の旧譜は置いていたのだが、LITTLE FEATの旧譜は全く置いていなかった。


筆者がLITTLE FEATの旧譜を購入できたのは、輸入レコード店に通うようになってからだ。


そして、その輸入レコード店の店主に「LITTLE FEATが聴きたい」と相談したところ、彼が推薦してくれたのが今回取り上げた3rdアルバム「DIXIE CHICKEN」だった。


早速「DIXIE CHICKEN」を購入し、家に帰って聴いて驚いたのは、ウェストコースト・ロック的な感じが全くないところだ(LITTLE FEATはロサンゼルス出身)。


EAGLESやTHE DOOBIE BROTHERSに近いウェストコースト・ロック的な音楽性を予想していたのだが、レコードから出てきた音は、「本当は、ロサンゼルスじゃなく、ニューオーリンズ出身なんじゃないの?」と思わせるほど南部指向が強い。


基本的にはフロントマンであるLowell Georgeローウェル・ジョージ〕のヴォーカルとギターを中心に据えたバンドだと思うのだが、どのパートもメチャクチャ演奏が上手い。


そして、このバンドの音楽性を決定づけているのは実はSam Clayton〔サム・クレイトン〕のコンガなのではないかと思う。


正直に言って、コンガなんてLITTLE FEATを聴くまで意識したことのない楽器だった。


コンガ奏者の方には大変失礼な言い方をしてしまったのだが、通常ロックバンドを構成している楽器隊の中には無い楽器であり、ロック・リスナーにとっては馴染みの薄い楽器なので、どうかお許し頂きたい。


LITTLE FEATの曲は歌も演奏もハイクオリティなのだが、聴いているとどうしてもSam Claytonのコンガに耳がいく。


曲によってはコンガのパートが少ない曲や、そもそもコンガが入ってない曲もあるので、そうなると少し寂しく感じるほどだ。


いずれにしても、筆者はこのアルバムを切っ掛けにして、アメリカ南部のルーツ・ミュージックに傾倒していくこととなる。