#0053) THE SCENE CHANGES: THE AMAZING BUD POWELL (VOL. 5) / Bud Powell 【1959年リリース】

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以前、Thelonious Monkセロニアス・モンク〕を取り上げときに「一番好きなピアニストである」と書いた。


ただし、人から「お薦めのジャズ・ピアニストを教えて」と問われたときにMonkを薦めることはまずない。


そもそも、人に蘊蓄(うんちく)を語れるほど筆者はジャズに詳しくないし、それほど多くのジャズ・ミュージシャンを聴いてきた訳でもないので持ちネタ自体が少ない。


それでも、やはり、Monkを薦めることはしない。


Monkの個性的すぎるピアノは安易に人に薦められるようなものではないからだ。


では、そういうときにどのジャズ・ピアニストを薦めるのかというと、これはもういつも決まっていて、必ずBud Powellバド・パウエル〕ということになる。


そして、薦めるアルバムはというと、「THE SCENE CHANGES: THE AMAZING BUD POWELL (VOL. 5)」である。


このアルバムは、「普段ジャズを聴く習慣の無い人でも一度は聴いたことがあるのでは?」というほどの名曲"Cleopatra's Dream (クレオパトラの夢)"で始まるところが良い。


とにかく、前編に渡り非常にキャッチ―なアルバムである。


以前、取り上げたMonkとは同時代の人であり(Monkが1917年生まれ、Powellが1924年生まれ)、PowellはMonkに音楽理論を師事したということだが、ピアニストとしてのPowellはMonkからそれほど影響を受けていないように思える。


筆者はジャズ理論については全くの無知だが、そんな筆者が聴いても二人は全く違う個性の持ち主であることが解かる。


ひたすら自分の世界に入り込むMonkに対し、Powellには聴き手を楽しませようというエンターテイナーとしての資質を感じる。


それでいて、聴き手に媚を売るような薄っぺらで軽薄な音楽になっていないところが凄い。


なにかこう、命を削ってピアノを弾いているような鬼気迫る迫力がPowellの演奏にはある。


そのためだろうか、Powellは41歳という若さで亡くなっている。


それにも関わらずリリースされた作品の数は多く、筆者もまだ聴いていない作品が多い。


そろそろ人生のゴールが見えつつある筆者だが、この先の人生の楽しみの一つがPowellの作品を発掘していくことだ。


残された時間はあまり多くないので急がなければならない。