筆者にとって、「ニューヨークを代表するシンガー・ソングライターは?」と問われた場合、迷うことなく真っ先に連想するのはLou Reed〔ルー・リード〕である。
では、ニューヨークに匹敵する米国のもう一つの大都市である「ロサンゼルスを代表するシンガー・ソングライターは?」と問われた場合、こちらも迷うことなく真っ先に連想するのがRandy Newman〔ランディ・ニューマン〕である。
あまりにも違う個性を持つ二つの大都市、ニューヨークとロサンゼルス。
国が違うので単純な比較は意味がないのかもしれないが、この二つの都市は日本で言えば、東京と大阪のような関係なのだろうか?
最近では日本もそれほど安全な国ではなくなってきているが、それでも海外出張や海外旅行から帰国した時は、日本が如何に安全な国であるかを実感できる。
社会のグローバル化が進んだ現在では海外で暮らすことに憧れを抱く日本人も多いようだが、正直なところ筆者は海外で暮らしたいと思ったことがない。
それは海外出張や海外旅行から帰国する度に感じてきた。
それでも、どうしても海外で暮らさなければならない事態に陥って、暮らす場所を自分で選ぶことが出来るなら、ロサンゼルスが良い。
理由は単純で、筆者は冬の寒さが苦手だからである。
今回取り上げたRandy Newmanの3rdアルバム「SAIL AWAY」は、これぞまさに「ロサンゼルス」を感じさせてくれるアルバムである。
一聴すると穏やかで美しい曲調が続くアルバムだが、歌詞を読むとちょっと皮肉っぽくて、大都市ロサンゼルスという街の光と影を感じさせてくれる。
このアルバムには、どこか屈折したところがある。
例えば表題曲でもある"Sail Away"の歌詞にそれが顕著だ。
ちょっとセンシティヴな歌詞なのでここではあえて書かないが、興味のある人は是非この曲の歌詞を探して読んでみてほしい。
筆者は歌詞を見ながらこの曲を聴くと、ちょっとやりきれない気持ちになる。