Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0061) NEW BOOTS AND PANTIES!! / Ian Dury 【1977年リリース】

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英国のパブでビールを飲みながらパブ・ロックを聴ければ最高だろうなと思うことがある。


実際には筆者はアルコールが達者な方ではないので、少し飲んだだけでギブアップになるとは思うのだが...


「パブ・ロック」というのは、「パブのような小さな会場で演奏しているロック」の総称なので明確な音楽性の共通点は無い。


DR. FEELGOOD〔ドクター・フィールグッド〕ならR&B、BRINSLEY SCHWARZ〔ブリンズレー・シュウォーツ〕はカントリーの影響が強く、IAN DURY & THE BLOCKHEADS〔イアン・デューリー&ザ・ブロックヘッズ〕になるとファンク、という具合にアーティストによってその音楽性はばらばらだ。


その中から、今日はIan Duryの1stアルバム「NEW BOOTS AND PANTIES!!」を取り上げたい。


Ian Duryのソロ名義ではあるが、Chaz Jankel〔チャズ・ジャンケル〕(guitars)、Norman Watt-Roy〔ノーマン・ワット=ロイ〕(bass)、Charley Charles〔チャーリー・チャールズ〕(drums)、Davey Payne〔デイヴィー・ペイン〕(saxophones)等、THE BLOCKHEADSのメンバーも全面的に参加しているので、実質的にはIAN DURY & THE BLOCKHEADSのアルバムと言っても差し支えないだろう。


このバンドはとにかく演奏が巧い。


そもそも、パブ・ロック・シーンには演奏の巧いバンドが多いのだが、その中でもこのIAN DURY & THE BLOCKHEADSはトップクラスなのではないだろうか?


アルバムの最初から最後までホワイト・ファンクの最高峰と言えるレベルの演奏を楽しめる。


このアルバムの少し前にリリースされたヒット・シングルの"Sex & Drugs & Rock & Roll"は収録されていないのだが、もしそれが収録されていたとしてもそんなことは大したアドバンテージにならないと思えるほど完成度の高いデビュー・アルバムだ(リイシュー盤には"Sex & Drugs & Rock & Roll"がボーナス・トラックとして収録されている場合が多い)。


そう言えば、Ian Duryは左半身に麻痺を持つ障害者である。


故にライヴ・パフォーマンスでは、一般的なロック・バンドのシンガーがやるようなカッコ良いキメのポーズはとれない(というか、この人の場合、麻痺が無かったとしても、そういうポーズはとらなさそうだ)。


しかし、彼のライヴ・パフォーマンスを動画サイト等で見てほしい。


超絶のカッコ良さなのである。


ロックとは、障害者も健常者も楽しめる表現手段なのだと思う。


もちろん、障害者の方が抱えるハンディキャップは我々が思う以上に大変である。


例えば、聴覚に障害を持つ方は音楽を聴くことが出来ない。


しかし、ロックには素晴らしい歌詞やユニークな歌詞を持つ曲も多い。


それらの素晴らしい歌詞をもっともっと知ってもらえる方法は無いのかなと思うことがある。


もちろん、趣味の押し付けは出来ないので、「それを望むなら」という前提ではあるのだが。