EMERSON, LAKE & PALMER〔エマーソン・レイク&パーマー〕。
メンバー3人の姓をアルファベット順に並べただけ。
偶然なのだろうが何となく語呂は良い。
語呂は良いのかもしれないが、こんなものがグループ名になるのかと驚いた記憶がある。
こんな愛想もへったくれも無いグループ名を付けて売れたというのも凄い。
グループ名はけっこう大切である。
あのTHE BEATLES 〔ザ・ビートルズ〕でも、HARRISON, LENNON, McCARTNEY & STARRなんてグループ名を付けていたら、もしかすると売れていなかったかもしれない。
筆者がロックを聴き始めたのは1980年代の初期なので、EMERSON, LAKE & PALMER(以下、ELP)は筆者にとってリアルタイムでその全盛期と遭遇できなかったアーティストだ。
ELPを知ったきっかけは、このブログでは毎度お馴染みの洋楽雑誌「MUSIC LIFE」である。
そのMUSIC LIFEで時々特集される過去の名盤特集的な記事でプログレッシヴ・ロックの名盤として取り上げられるのがELPの場合、2ndアルバムの「TARKUS」かライヴ・アルバムの「PICTURES AT AN EXHIBITION」だった。
しかし、へそ曲がりの筆者が強烈に魅かれたのはMUSIC LIFEで取り上げられていた上記のアルバムよりも、今回このブログで取り上げた4thアルバムの「BRAIN SALAD SURGERY」の方だった(ただし、人によってはこのアルバムの方をELPの最高傑作に上げる人も多い)。
このアルバム、「恐怖の頭脳改革」という邦題が強烈なのだが、実は音よりも先に美しいジャケットのアートワークに魅かれた。
その美しいジャケットの絵画を手掛けたのがSF映画『エイリアン』でのデザイナーも務めたH. R. Giger〔H・R・ギーガー〕だと知ったのはこのアルバムを聴くようになった少し後であり、以来、H. R. Gigerがアルバム・ジャケットを手掛けたCELTIC FROST〔セルティック・フロスト〕の「TO MEGA THERION」、Steve Stevens〔スティーヴ・スティーヴンス〕の「ATOMIC PLAYBOYS」、CARCASS〔カーカス〕の「HEARTWORK」等は愛聴盤となることが多く、H. R. Gigerもお気に入りの芸術家になった。
話がだいぶ横道にそれてしまった。
「BRAIN SALAD SURGERY」の話だ。
初めて聴いた時は、かなり乱暴なアルバムだなと感じた。
特にKeith Emerson〔キース・エマーソン〕の暴れまくるキーボード/シンセサイザーが攻撃的で、筆者が持っていたプログレッシヴ・ロックのイメージが覆された。
このアルバムを聴く前に聴いたことのあるプログレのレコードと言えば、KING CRIMSON〔キング・クリムゾン〕の「IN THE COURT OF THE CRIMSON KING」とPINK FLOYD〔ピンク・フロイド〕の「THE DARK SIDE OF THE MOON」の2枚だけだったのだが、この二つのバンド(まぁ、この二つのバンドにも全く共通点はないのだが)が造り出す深遠な世界とはだいぶ違う印象をELPからは感じたのである。
本音を言ってしまうと、筆者がこのアルバムを聴くときは、アルバム後半の組曲" Karn Evil #9 (悪の教典#9)"が聴きたいのである。
ジャズやクラシックからの影響を随所に盛り込んだスリリングでアグレッシヴな演奏が聴きたくてこのアルバムを聴くのである。
故に、前半を聴いている時に少し自分のテンションが下がっているのに気付くことがある。
ただし、この前半が無いと後半の大団円の意味もなくなるので前半をスキップして聴いても面白くない。
なかなかバランスの微妙なアルバムであり、聴き終えた後にガッツリと疲労感の残るアルバムでもある。