英国出身の三大ギタリストと言えば有名だが、三大ヴォーカリストとなると誰になるのだろうか?
筆者の個人的な好みでは、
アーティスト名 | 生年月日 | 所属グループ |
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Rod Stewart〔ロッド・スチュワート〕 | 1945/01/10 | THE JEFF BECK GROUP〔ザ・ジェフ・ベック・グループ〕、FACES〔フェイセズ〕 |
Steve Marriott〔スティーヴ・マリオット〕 | 1947/01/30 | SMALL FACES〔スモール・フェイセス〕、HUMBLE PIE〔ハンブル・パイ〕 |
Paul Rodgers〔ポール・ロジャース〕 | 1949/12/17 | FREE〔フリー〕、BAD COMPANY〔バッド・カンパニー〕 |
という三人を推したい。
いずれも1960年代後半から1970年代前半にかけて全盛期を迎えていた人たちである。
筆者は1980年代前半から洋楽を聴き始めたリスナーだが、1980年代には良いヴォーカリストはいなかったのかと問われると、そんなことはなく、
アーティスト名 | 生年月日 | 所属グループ |
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Paul Young〔ポール・ヤング〕 | 1956/01/17 | Q-TIPS〔Q-ティップス〕 |
Mick Hucknall〔ミック・ハックネル〕 | 1960/06/08 | SIMPLY RED〔シンプリー・レッド〕 |
Roland Gift〔ローランド・ギフト〕 | 1961/05/28 | FINE YOUNG CANNIBALS〔ファイン・ヤング・カニバルズ〕 |
あたりはかなり良いヴォーカリストだったと今でも思っている。
その中から今日はPaul Youngの2ndアルバム「THE SECRET OF ASSOCIATION」を取り上げてみる。
このアルバムには全米1位となったダリル・ホール&ジョン・オーツ〔Daryl Hall & John Oates〕のカヴァー"Everytime You Go Away"が収録されており、それが多くのリスナーにとって、このアルバムを買う切っ掛けとなっている。
確かにこの美しいバラードはPaul Youngのハスキーな声に向いている。
そして、とにかく、この人は歌が上手いヴォーカリストだ。
感情表現が豊かであり、それを巧みにコントロールして歌声に乗せることが出来る歌唱力を持っていながら、どこか垢抜けない田舎っぽさのあるところがまた良いのである。
1stアルバム「NO PARLEZ」には、あのポストパンクの雄であるJOY DIVISION〔ジョイ・ディヴィジョン〕の名曲"Love Will Tear Us Apart"のカヴァーが収録されているのだが、Paul Youngがカヴァーするとあの殺伐とした曲が温かみのあるソウル・ミュージックになっている。
これはもう、彼の個性であり、歌うために生まれてきたような人なのである。
しかし、ヴォーカリストとしては一流だった彼だが、キャッチーなシングル向けの曲を書くソングライターとしての資質は持っていなかった。
彼の代表曲はカヴァーがその大半を占める。
この「THE SECRET OF ASSOCIATION」にも彼の書いた曲が収録されていて、いずれも良い曲なのだが渋すぎてシングル向きとは言いにくい。
彼はソロとして活動するよりも、キャッチーなメロディーを書けるメンバーを見つけてバンドを組んだ方が息の長い活動が出来ていたのではないかと思えて仕方がない。