LOS LOBOS〔ロス・ロボス〕と言えば、多くの洋楽ファンにとっては、Ritchie Valens〔リッチー・ヴァレンス〕のカヴァーであり、映画『ラ★バンバ』の主題歌としてヒットした"La Bamba"なのだろう。
しかし、"La Bamba"以前からLOS LOBOSを知る洋楽ファンの立場から言わせてもらうと、"La Bamba"はLOS LOBOSというバンドが持つ魅力のほんの一部である。
LOS LOBOSをインターネットで調べると、Chicano Rock〔チカーノ・ロック〕、Latin Rock〔ラテン・ロック〕、Tex-Mex〔テックス・メックス〕等、メキシコ系米国人としてのルーツに根差したジャンル分けが強調されているが、筆者にとって、LOS LOBOSとは最高にイカしたロックン・ロール・バンド、それで十分なのである。
もちろん、LOS LOBOSというバンドの最大の特徴はラテン音楽とロック・ミュージックの融合であることに異論はない。
しかし、繰り返しになるが、LOS LOBOSというバンドは最高にイカしたロックン・ロール・バンドなのである。
筆者にとって、LOS LOBOSのアルバムにハズレはないのだが、人に紹介する時に選ぶ一枚としては今回取り上げた4thアルバム「BY THE LIGHT OF THE MOON」を勧めることが多い(余談だが、このバンド、ディスコグラフィをどのようにカウントするかが難しいバンドである)。
このアルバムは、グルーヴたっぷりのドラムスやパーカッションが鳴らすリズム、ツボを押さえた弦楽器と鍵盤、セクシーなヴォーカル、それらに彩を添える管楽器、全てのピースがジャストなタイミングで決まっている名盤中の名盤であろう。
2018年現在の今でも現役のバンドであるが、このバンドの在り方というのはロックン・ロール・バンドの理想形の一つではないだろうかと思うことが度々ある。
THE ROLLING STONES〔ザ・ローリング・ストーンズ〕やAEROSMITH〔エアロスミス〕等、歳を取ってからでも現役を貫くロックン・ロール・バンドもある(THE ROLLING STONESとAEROSMITHには10歳ほどの世代差があるが)。
しかし、THE ROLLING STONESやAEROSMITHの活動を見ていると少々無理がある感じがしなくもない。
それに比べ、LOS LOBOSの活動は自然体である。
気心知れたメンバー同士で、こんなにも肩肘張らないロックン・ロールを演奏し続けられたなら、なんて幸せなんだとうと羨ましくなることがある。