Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0157) LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN / POISON 【1986年リリース】

f:id:DesertOrchid:20190129225336j:plain

 

1980年代に隆盛を極めたグラム・メタル(ヘア・メタル)のイメージと言えば、スプレーで立てた長髪、ド派手なメイク、ヒラヒラした衣装あたりだろう。


そんなグラム・メタルの最大公約数的なイメージに最も近いバンドは、たぶんPOISON〔ポイズン〕なのではないだろうか?


グラム・メタル・バンドの多くは米国カリフォルニア州ロサンゼルス、つまりはL.A.を活動拠点にしており、これがグラム・メタルのことを日本ではLAメタルと呼ぶ由縁となっているのだが、POISONもレコード契約を求めてペンシルベニア州からL.A.に移住したバンドだ。


グラム・メタルというのは、1990年代前半に興ったグランジ/オルタナティヴ・ロックのムーヴメント以降は笑いのネタとして馬鹿にされることが殆どだが、当時はあれをカッコ良いと思う少年少女が沢山いたのである。


筆者もその一人であり、MOTLEY CRUE〔モトリー・クルー〕、RATT〔ラット〕、DOKKEN〔ドッケン〕、TWISTED SISTER〔トゥイステッド・シスター〕、W.A.S.P.〔ワスプ〕、CINDERELLA〔シンデレラ〕等のグラム・メタル・バンドを毎日のように聴いていた。


しかし、そんな筆者でも「POISONが好き」、「POISONを聴いている」とは言い難かった。


当時、筆者の周りに居たグラム・メタル・マニアの間では、「POISONはアカン」、「POISONは軟弱」という空気があり、POISONは男が聴くバンドではないとされていたのである。


この感じは、1970年代におけるANGEL〔エンジェル〕の扱われ方に近いのではないだろうか?


しかし、他人からどう評価されていようが、好きなものは好きなのだから仕方がない。


今回取り上げた1stアルバム「LOOK WHAT THE CAT DRAGGED IN」(「ポイズン・ダメージ」というカッコ悪い邦題が付けられていた)は、洋楽雑誌MUSIC LIFEの新譜レビューで見つけ、リリースとほぼ同時に買った。


演奏は前評判どおりで、聴いているとズッコケそうになる箇所もあったが、どの曲もポップで、メロディアスで、何より1曲目の"Cry Tough"で「君の夢を実現するために、叫ぶんだ」と歌っているのが気に入った。


#0127でTWISTED SISTER〔トゥイステッド・シスター〕を取り上げた時にも同じこと書いたのだが、今、この時代のキッズに必要なバンドは、POISONのように「難しく考えなくても良いんだよ」と言って、ロックの楽しさを解り易く教えてくれるバンドなのではないかと思う。