Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0195) AMERICAN BEAUTY / GRATEFUL DEAD 【1970年リリース】

f:id:DesertOrchid:20190501193154j:plain

 

1980年代初期から洋楽ロックを聴き始めた筆者は主にその時代に活動していたアーティストのレコードの新譜を聴いていたのだが(ざっくり言うとニュー・ウェイヴやヘヴィ・メタルが多かった)、数年後の1980年代中期になると時代を遡って1960年代から1970年代初期の旧譜を積極的に聴くようになっていた。


そのような旧譜はレンタル・レコード店では見つからないことも多かったので、大抵の場合は街の輸入レコード店をハシゴして探し出していた。


今回取り上げたGRATEFUL DEADグレイトフル・デッド〕の5thアルバム「AMERICAN BEAUTY」も上記のように輸入レコード店で購入した一枚だ。


30年以上も昔のことなのだが、確か、このアルバムはMOTT THE HOOPLE〔モット・ザ・フープル〕の1stと一緒に買ったことを鮮明に憶えている。


GRATEFUL DEADというバンド名がチベット仏教の経典などに由来する「感謝する死者」という意味であることはだいぶ後になってから知ったのだが、当時の筆者はDead(死んだ)という単語のイメージから勝手にBLACK SABBATHブラック・サバス〕のようなドゥーム感漂うヘヴィなロックを想像していた。


ところが、買ってきた「AMERICAN BEAUTY」に針を落として流れてきた音はフォークやカントリーのテイストが漂うあまりにもアメリカンで牧歌的な音であり、これにはかなりの肩透かしを喰らってしまった。


ただし、フォークやカントリーというのはその頃の筆者にとって、ロックという枠を超えて聴き始めていた音楽であり、「AMERICAN BEAUTY」の懐の深い音楽性に引き込まれるのにそれほど時間は掛からなかった。


多彩な才能を持つリーダーJerry Garcia〔ジェリー・ガルシア〕のヴォーカル、ギター、ピアノの流麗な演奏に引っ張られる形で、各々のメンバーも確かな技術で表現力豊かな演奏を聴かせてくれる。


筆者がロックを聴き始めたのは1980年代初期、つまりは、パンク以降であるため、演奏が上手いのは悪とされる傾向があったのだが、やはり上手い演奏というのは良い音楽を創るための大きなアドバンテージになることは確かだ。


GRATEFUL DEADのファンはDead Heads〔デッドヘッズ〕と呼ばれ、GRATEFUL DEADのコンサート・ツアーを追いかけるそうだが、確かにGRATEFUL DEADの音を聴いていると俗世間なんて捨て去り、Jerry Garciaが率いるGRATEFUL DEADという自由な楽団と一緒に旅をしたい気持ちになるのも分かる気がする。