今日は、#0187で取り上げたVAI〔ヴァイ〕の「SEX & RELIGION」に参加しているベーシストT. M. Stevens〔T.M.スティーヴンス〕がT. M. STEVENS OUT OF CONTROL〔T.M.スティーヴンス・アウト・オブ・コントロール〕名義でリリースした1stアルバム「BOOM」を取り上げる。
T. M. Stevensは1951年生れなので、この1stアルバム「BOOM」をリリースした時は44歳である。
そのキャリアにおいて、多くの著名ミュージシャンと活動してきたベーシストが44歳にして放った渾身の一撃と言える作品だろう。
T. M. Stevensは、James Brown〔ジェームス・ブラウン〕やBootsy Collins〔ブーツィー・コリンズ〕というファンクの大物との活動がよく知られているため、筆者はこの「BOOM」とうアルバムに対し、勝手にファンクのアルバムだという先入観を持っていたのだが、実際に聴いてみたところ、これはかなりロック色の強いアルバムだった。
もちろん、ファンクの要素があるのは確かなのだが、T. M. Stevensが自身の音楽性をヘヴィ・メタル・ファンクと言っているとおり、ロックの中でも特にヘヴィ・メタルやハード・ロックに通じる重さと切れ味がある。
黒人が奏でるロックと言えば、BAD BRAINS〔バッド・ブレインズ〕、FISHBONE〔フィッシュボーン〕、LIVING COLOUR〔リヴィング・カラー〕、24-7 SPYZ〔トゥエンティ・フォー・セヴン・スパイズ〕等の名があがると思うのだが、T. M. Stevensがこのアルバムで奏でている音楽は、上記のバンドよりも、もっと王道のハード・ロックに近い(LIVING COLOUR のドラマーWill Calhoun〔ウィル・カルホーン〕はこのアルバムに参加している)。
リード・シンガーとしてポール・ロジャース〔Paul Rodgers〕かRobert Plant〔ロバート・プラント〕を迎えてこのアルバムを制作していたなら、もっとハード・ロック的なアルバムになっていたのではないかと思うのは筆者だけだろうか?
ファンクの要素が入っているとどうしても苦手だという人は別として、筆者はこのアルバムは多くのロック・ファンに聴いて欲しい作品だと思っている。
筆者の好きなAl Pitrelli〔アル・ピトレリ〕やStevie Salas〔スティーヴィー・サラス〕というギタリストも参加しており、T. M. Stevensのベースだけでなく、ギターの聴きどころが多いのもこのアルバムの特徴だ。
このアルバムは、あまりロック・ファンに知られていないので、ロック・ファンにも聴いてもらえればと思い今回取り上げてみた。