行きつけの輸入レコード店のオーナーから薦められたRobert Johnson〔ロバート・ジョンソン〕でブルースに目覚めた筆者がRobert Johnsonの次に聴いたブルースのレコードが、今回取り上げたSonny Boy Williamson II〔サニー・ボーイ・ウィリアムソンII〕の1stアルバム「DOWN AND OUT BLUES」だ。
オーナーからは「ハープの名手」と聞かされたのだが、当時の筆者はハープというと西洋音楽で使われるハープ(竪琴)のことしか知らなかったので、最初はそのハープ(竪琴)とブルースが結びつかず、頭の中は疑問符だらけだった。
「ハープってこれのことですか?」と言いながらハープ(竪琴)を弾くジェスチャーをオーナーに見せたところ、オーナーはブルースハープ(10ホールズハーモニカ)という楽器を筆者に教えてくれた。
THE ROLLING STONES〔ザ・ローリング・ストーンズ〕のMick Jagger〔ミック・ジャガー〕やNEW YORK DOLLS〔ニューヨーク・ドールズ〕のDavid Johansen〔デヴィッド・ヨハンセン〕、HANOI ROCKS〔ハノイ・ロックス〕のMichael Monroe〔マイケル・モンロー〕等、ロックン・ロール・バンドのシンガーがハーモニカを吹いていたことは知っていたが、それが幼稚園の頃に吹いていたハーモニカではなく、ブルースハープであるということを、この時、初めて知った。
筆者にとって、Sonny Boy Williamson IIとは、それまであまり意識することのなかったブルースハープという楽器を強く意識させてくれたアーティストだ。
筆者はSonny Boy Williamson IIを知ってから、前述のシンガー達が吹くブルースハープを意識して聴くようになり、ブルースハープという楽器の魅力を知った。
Sonny Boy Williamson IIはロックを聴いていたリスナーにとっては非常に聴きやすいブルース・マンだ。
初めて聴いた時から普段聴いているロックと殆ど同じ感覚で楽しんで聴くことができた。
THE YARDBIRDS〔ザ・ヤードバーズ〕と共演したり、NEW YORK DOLLSに楽曲をカヴァーされたりしているのでロックとの距離が近い。
そう言えば、NEW YORK DOLLSの2ndアルバム「TOO MUCH TOO SOON」にはSonny Boy Williamson IIの"Don't Start Me Talkin'"が収録されているが、DOLLSのカヴァーあまりにも自己流すぎて、かなり後になるまで同じ曲だと気づかなかった。
ちなみに、このアルバム「DOWN AND OUT BLUES」のジャケットには、地ベタに寝そべっている小汚いオッサンの写真が使われているが、このオッサンはSonny Boy Williamson IIではない。
本人は、もっと小洒落たオッサンである。
この事実を知ったのも、かなり後になってからだ。
ややこしいことをしてくれたものだ。