APHEX TWIN〔エイフェックス・ツイン〕ことRichard D. James〔リチャード・D・ジェームス〕を知ったのは、JESUS JONES〔ジーザス・ジョーンズ〕のMike Edwards〔マイク・エドワーズ〕が自身のフェイバリットとして、その名を上げていたからだ。
その後、JESUS JONESに限らず、1990年代初期に活動していた英国のロック・ミュージシャンの多くがAPHEX TWINのことをインタビューで語り始めた。
当時、次々と出てくるロック・バンドにはダボハゼのように喰らいついていた筆者だったが、APHEX TWINのようなエレクトロニック・ミュージックには距離を置いていた。
と言うよりも、むしろエレクトロニック・ミュージックのことは積極的に嫌っていた。
それが180度変わって、エレクトロニック・ミュージックを好きになったのは、Goldie〔ゴールディー〕の1995年のアルバム「TIMELESS」を聴いて、ドラムン・ベースを知ってからだ。
そして、1996年に絶妙のタイミングでAPHEX TWINがドラムン・ベースに取り組んだアルバム「RICHARD D. JAMES ALBUM」がリリースされた。
最初に聴いた時は、Goldieの「TIMELESS」が持っているようなエレガンスもなく、リズムも玩具(おもちゃ)のようで、「なんだ、こりゃ?」って感じだったのだが、聴き終わると直ぐにまた聴きたくなる不思議な魅力があった。
一言で表現するなら、「無邪気な悪意」という感じだろうか?
凶器を持った子供が、その凶器の使い方が分からず闇雲に振り回しながら、どんどん自分の方に近づいてくるような、そんな危うさを感じさせる音楽である。
エレクトロニック・ミュージックというのは、クラブで踊るための音楽という認識が筆者の中にはあるのだが、果たして、こういう音楽で踊れるものなのだろうか?
筆者はクラブに行く習慣が無いので、その辺のことは全く分からない。
以前、PLUG〔プラグ〕の「DRUM 'N' BASS FOR PAPA」を取り上げた時にも同じことを書いたのだが、むしろ聴くための音楽のような気がする。
なので、筆者は、この「RICHARD D. JAMES ALBUM」を聴く時は、部屋を暗くして、ヘッドフォンで聴くことにしている。