ロックン・ロールを聴いてみたいという人に筆者が必ずお勧めするアルバムが2枚ある。
1枚はこのブログで過去に取り上げたNEW YORK DOLLS〔ニューヨーク・ドールズ〕の1stアルバム「NEW YORK DOLLS」。
そしてもう1枚は今回取り上げたIGGY & THE STOOGES〔イギー&ザ・ストゥージズ〕の「RAW POWER」だ。
「RAW POWER」はTHE STOOGESのアルバムとしてカウントするなら3rdアルバムにあたるが、IGGY & THE STOOGESと名乗ってからは最初のアルバムである。
MC5〔エム・シィー・ファイヴ〕の「KICK OUT THE JAMS」もそれに匹敵するアルバムなのだが、これはライブ・アルバムなので、ここではスタジオ・アルバムに限定する。
「NEW YORK DOLLS」と「RAW POWER」には共通点がある。
両方とも1973年にリリースされているが、それではない。
両方とも、1曲目が凄いのである。
もう少しつっこんで言うと、1曲目のイントロで鳴るギターが凄いのである。
このイントロのギターだけで、ロックン・ロールの全てが解ってしまう、そんな、とてつもなくカッコ良いギターなのである。
「NEW YORK DOLLS」の方は"Personality Crisis"、「RAW POWER」の方は"Search And Destroy"、この2曲でロックン・ロールの全てが解ってしまうと言い切るのは早計だろうか?
NEW YORK DOLLSもそうだが、THE STOOGESもけして技巧派ではない。
プロのバンドとしては、むしろ演奏が巧くない方のバンドだろう。
ただし、ここがロックン・ロールの面白いところだと思うのだが、巧いということが必ずしもカッコ良いかというと、けしてそうではない。
ロックン・ロールの世界では、技術力はもちろんあるに越したことはないのだが、それが絶対的なアドバンテージにはならない。
IGGY & THE STOOGESというバンド、そして「RAW POWER」というアルバムは、正にそれを体現している存在である。
「NEW YORK DOLLS」を取り上げたときにも同じことを書いたのだが、あえて、ここで再度書きたい。
「RAW POWER」を聴いて、そして、このイントロのギターを聴いてノックアウトされないのであれば、もうロックン・ロールを聴く必要はない。
「ロック」は好きになれるかもしれないが、「ロックン・ロール」に犯されることはない。