Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0031) RAW POWER / IGGY & THE STOOGES 【1973年リリース】

f:id:DesertOrchid:20180210142053j:plain

 

ロックン・ロールを聴いてみたいという人に筆者が必ずお勧めするアルバムが2枚ある。


1枚はこのブログで過去に取り上げたNEW YORK DOLLSニューヨーク・ドールズ〕の1stアルバム「NEW YORK DOLLS」。


そしてもう1枚は今回取り上げたIGGY & THE STOOGES〔イギー&ザ・ストゥージズ〕の「RAW POWER」だ。


「RAW POWER」はTHE STOOGESのアルバムとしてカウントするなら3rdアルバムにあたるが、IGGY & THE STOOGESと名乗ってからは最初のアルバムである。


MC5〔エム・シィー・ファイヴ〕の「KICK OUT THE JAMS」もそれに匹敵するアルバムなのだが、これはライブ・アルバムなので、ここではスタジオ・アルバムに限定する。


「NEW YORK DOLLS」と「RAW POWER」には共通点がある。


両方とも1973年にリリースされているが、それではない。


両方とも、1曲目が凄いのである。


もう少しつっこんで言うと、1曲目のイントロで鳴るギターが凄いのである。


このイントロのギターだけで、ロックン・ロールの全てが解ってしまう、そんな、とてつもなくカッコ良いギターなのである。


「NEW YORK DOLLS」の方は"Personality Crisis"、「RAW POWER」の方は"Search And Destroy"、この2曲でロックン・ロールの全てが解ってしまうと言い切るのは早計だろうか?


NEW YORK DOLLSもそうだが、THE STOOGESもけして技巧派ではない。


プロのバンドとしては、むしろ演奏が巧くない方のバンドだろう。


ただし、ここがロックン・ロールの面白いところだと思うのだが、巧いということが必ずしもカッコ良いかというと、けしてそうではない。


ロックン・ロールの世界では、技術力はもちろんあるに越したことはないのだが、それが絶対的なアドバンテージにはならない。


IGGY & THE STOOGESというバンド、そして「RAW POWER」というアルバムは、正にそれを体現している存在である。


「NEW YORK DOLLS」を取り上げたときにも同じことを書いたのだが、あえて、ここで再度書きたい。


「RAW POWER」を聴いて、そして、このイントロのギターを聴いてノックアウトされないのであれば、もうロックン・ロールを聴く必要はない。


「ロック」は好きになれるかもしれないが、「ロックン・ロール」に犯されることはない。