THE BANGLES〔ザ・バングルス〕を知ったのはテレビの洋楽番組だった。
あの殿下ことPrince〔プリンス〕から提供された曲というコメントに続いて放送された"Manic Monday"は、まさに天才Princeが彼女達をスターダムに導くために書いたような極上のポップ・ソングだった。
そして、曲の良さと同じくらい筆者が驚いたのは、その"Manic Monday"でヴォーカルを担当していたSusanna Hoffs〔スザンナ・ホフス〕の可愛さである。
Susanna Hoffsは、かつてPrinceが侍(はべ)らせていたVanity〔ヴァニティ〕やApollonia〔アポロニア〕を若くて清楚にしたヴィジュアルで、いかにもPrinceが好きそうな、ちょっとラテン的な雰囲気を持つ女の子で、とにかく可愛かった。
ただし、その頃の筆者はTHE BANGLESのことを少しなめていて、「Princeからヒット曲を贈られたアイドル」くらいにしか捉えていなかった。
しかし、"Manic Monday"以降もシングル・ヒットを連発し、そのどれもこれもが素晴らしくポップな楽曲で、慌てて"Manic Monday"収録の2ndアルバム「DIFFERENT LIGHT」を購入した。
そして、その2年後にリリースされた3rdアルバムが今回取り上げた「EVERYTHING」だ。
実は、この「EVERYTHING」、セールス的には「DIFFERENT LIGHT」よりも落ちている。
しかし、これは筆者の個人的な好みも多分に入っているが、「EVERYTHING」の方が楽曲の平均的な質は上がっている。
確かに、"Manic Monday"のようなキラー・チューン・ポップ・ソングは無い。
しかし、"Manic Monday"は天才Princeによる神の所業である。
Princeと同じことを、他の人がそうそう簡単に出来るものではない。
「EVERYTHING」には当時の彼女達の等身大のポップ・ソングが詰まっていて、その全てが可愛らしい。
そして、何よりも1980年代屈指の名バラード"Eternal Flame"が聴けるのもこのアルバムだ。
"Eternal Flame (永遠の炎)"とは、ベタなタイトルでもあるが、女性らしいなかなかロマンティックなタイトルではないか。
こんなにも美しい曲をこの世界に残してくれた彼女達に感謝したい。
ちなみに、Susanna Hoffsはジャケット写真の一番左の女の子である。