このブログでは何度かプログレッシヴ・メタルにカテゴライズされるアーティストのアルバムを取り上げてきた。
当然ながら取り上げたアルバムは全て好きなのだが、通常このジャンルで最も人気と評価が高いのはQUEENSRYCHE(正式なバンド名表記はYの上にウムラウトという横並びの・が二つ付く)とDREAM THEATERだろう。
この二つのバンドは一応プログレッシヴ・メタルという同じジャンルにカテゴライズされながらも、その音楽性はかなり異なる。
QUEENSRYCHEはJUDAS PRIESTやIRON MAIDEN等のヘヴィ・メタルをルーツに持つバンドからのプログレッシヴ・ロックに対するアプローチだが、DREAM THEATERはYESやRUSH等のプログレッシヴ・ロックをルーツに持つバンドからのヘヴィ・メタルに対するアプローチであると筆者は感じている。
そしてこれも二つのバンドの異なる点だと思うのだが、QUEENSRYCHEの人気と評価は3rdアルバム「OPERATION: MINDCRIME」と4thアルバム「EMPIRE」に偏っているように思えるのだが、DREAM THEATERは今回取り上げた2ndアルバム「IMAGES AND WORDS」以降、一時的に評価を下げたアルバムもあるが、比較的安定した人気と評価を維持しているように思える。
DREAM THEATERというバンドの凄さはこの安定した人気と評価を1990年代に維持し続けた点だろう。
「IMAGES AND WORDS」のリリースは1992年。
といことは、その前年の1991年はNIRVANAの「NEVERMIND」がリリースされており、米国におけるロックのトレンドはグランジやオルタナティヴ・ロックに傾倒し始める時期である。
つまり、少しでもメタルの要素を持っているバンドには分が悪い時期だ。
筆者はグランジやオルタナティヴ・ロックの勃興以前からロックを聴いており、グランジやオルタナティヴ・ロックの隆盛、ハード・ロックやヘヴィ・メタルの衰退を目の当たりにした世代だが、グランジやオルタナティヴ・ロックに敵対心を持ってはいなかった。
むしろ、新しく登場してくるグランジやオルタナティヴ・ロックのアーティスト達を喜んで聴いていた。
しかし、そんな筆者でもDREAM THEATERが「IMAGES AND WORDS」をリリースし、高い人気と評価を得た時は、何かこう胸のすく思いがしたことを記憶している。
その圧倒的なプレイヤビリティ、緻密に構築されたアレンジ、壮大な世界観を持つ歌詞、これらの要素は当時新しく出てきたグランジやオルタナティヴ・ロックからは得られにくいものであり、プログレッシヴ・メタルの醍醐味だと言える。
メタルにカテゴライズされるバンドが次々と討ち死にしていく中、DREAM THEATERが放った会心の一撃とも言える「IMAGES AND WORDS」はメタルを救った一枚なのである。