スウェーデンを代表するアーティストと言えば、筆者の場合、先ず思い浮かぶのはABBAだ。
しかし、今回取り上げるTHE CARDIGANS〔ザ・カーディガンズ〕もそれに匹敵するくらいの存在だと言っても言い過ぎではないだろう。
筆者にとってもTHE CARDIGANS は1990年代の一時期、かなりお気に入りのバンドだった。
このバンドに関してはスウェディッシュ・ポップとか渋谷系とか、ちょっと小洒落たイメージがあるが、シンガーのNina Persson〔ニーナ・パーション〕がBACKYARD BABIES〔バックヤード・ベイビー〕やMANIC STREET PREACHERS〔マニック・ストリート・プリーチャーズ〕の曲に参加していたり、ギタリストのPeter Svensson〔ピーター・スヴェンソン〕とベーシストのMagnus Sveningsson〔マグナス・スヴェニンソン〕が元々はヘヴィ・メタル・バンドをやっていたりと、なかなかどうして、ロック・スピリットを感じさせてくれるエピソードを持っていたりする。
しかし、THE CARDIGANSの曲は春風のように爽やかで、お洒落で、ハイセンスで、メンバーが本来持っている音楽的資質とは別のことを実に器用にやっていて、彼らのアルバムを聴く度に、「プロフェッショナルなバンドだな」と感心させられる。
まぁ、ビジネスでやっているわけではなく、THE CARDIGANSでやっている音楽も彼らの音楽的資質の一つだとは思うのだが、それにしても器用なバンドである。
特に今回取り上げた2ndアルバムの「LIFE」は日本でも大ヒットしていたし、普段は洋楽を聴かなさそうなリスナー層まで巻き込んでいたように記憶している。
特にアルバムのオープニングを飾る"Carnival"の完成度が凄すぎる。
筆者の場合、とにかく"Carnival"が聴きたくてこのアルバムを再生するのだが、"Carnival"が終わっても、続く2曲目以降もハイ・クオリティなポップ・ソングの連続であり、そもそも"Carnival"が聴きたくてこのアルバムの再生を始めたことを忘れさせられている。
そして、結局のところ、いつも最後までこのアルバムを聴くことに没頭させられてしまうのである。
曲もよく出来ているのだが、Nina Perssonのビロードのような滑らかな声が素晴らしく、実に中毒性の高い声質であり、彼女の声がこのアルバムをリピートしたくなる要因でもある。
実によく出来たアルバムだ。