マイクロソフトがWindows 95をリリースして以降、インターネットは人々の生活における重要なインフラとして定着し、筆者の暮らしもインターネット無しでは成立し難くなった。
自分の下に届く情報もインターネット普及以前とは比べ物にならないほど増え、趣味である音楽(主にロック)の分野でも思いがけず有用な情報を得られることがある。
これは、ロックを聴き始めた1980年代に洋楽雑誌で情報を集めていた頃とは比較にならない膨大な量だ。
そして、得られた情報から稀に大きな驚きを与えられることがある。
今回取り上げるFLIES ON FIRE〔フライズ・オン・ファィア〕が1991年にリリースした2ndアルバム「OUTSIDE LOOKING INSIDE」は、筆者に対し、かなり大きな驚きを与えてくれた一枚である。
その驚きとは、このアルバムの内容ではない。
このアルバムは特に奇を衒ったところのないオーソドックスなブルース・ベースのロックン・ロールだ。
筆者が驚いたのは、1990年頃に筆者がこのバンドを見逃していたことなのである。
「奇を衒ったところのないオーソドックスなブルース・ベースのロックン・ロール」というのは筆者の大好物だ。
FLIES ON FIREというバンドの音楽性を筆者の中で位置付けするなら、THE GEORGIA SATELLITES〔ジョージア・サテライツ〕とTHE DOGS D'AMOUR〔ザ・ドッグス・ダムール〕の間ということになる(FLIES ON FIREは米国のバンドなのでTHE GEORGIA SATELLITESの方により近いかもしれない)。
THE GEORGIA SATELLITESほど泥臭さくは無く、THE DOGS D'AMOURほど感傷的ではない。
正に筆者の好みにドンピシャで嵌るバンドなのである。
10年ほど前に(この記事を書いているのは2018年)、Amazonで筆者へのお薦めとして上がっていたのがFLIES ON FIRE との出会いである。
早速、世界最大の動画共有サービスサイトで試聴し、即決で中古盤を購入した。
とにもかくにも、1990年代初期に筆者がこのバンドを見逃していたのが自分自身でどうにも信じられない。
このバンドはインターネットを使っていなかったら、たぶん見つけられなかっただろう。
今回取り上げた「OUTSIDE LOOKING INSIDE」以外には、1989年に1stアルバム「FLIES ON FIRE」をリリースしているが、どうもこの2枚を残して解散しているようだ。
2枚のアルバムに大した違いは無いのでどちらを取り上げてもよかったのだが、「OUTSIDE LOOKING INSIDE」収録の"Blues #33"という曲がたまらなく好きなのでこちらを取り上げることにした。
筆者にとって、このバンドは隠し玉とも呼べる存在であり、「これ、良いから聴いてみて」と自信を持って言えるバンドなのだが、2018年現在、このアルバムは残念ながらAmazon Music Unlimitedでは提供されていない。
試聴するには、世界最大の動画共有サービスサイトで個々の曲を個別に拾うしかないのだが、そんな面倒くさいことをしてでもロックン・ロール・プリズナー達に聴いてもらいたいバンドである。