今回取り上げるCREEDENCE CLEARWATER REVIVAL〔クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル〕、通称CCRの5thアルバム「COSMO'S FACTORY」を筆者が聴きたいと思った理由は明白だ。
1980年代に筆者が最も好きだったHANOI ROCKS〔ハノイ・ロックス〕がこのアルバムに収録されている"Up Around The Bend"をカヴァーしていたので、その原曲を聴きたかったのである。
ただし、"Up Around The Bend"のみを聴きたかったのではなく、HANOI ROCKSが曲をカヴァーしたバンドということで、CCRというバンドその物にも興味があった。
実際にCCRの"Up Around The Bend"を聴いてみて感じたのは、HANOI ROCKSが比較的忠実に原曲を再現していということだった。
故に、取り立てて大きな感動は無く、JAPAN〔ジャパン〕がカヴァーした"All Tomorrow's Parties"の原曲が聴きたくてTHE VELVET UNDERGROUND〔ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド〕を聴いた時に、まるで違う曲を聴いているかのような驚きはなかった。
ただし、驚きは無かったのだが、このアルバム「COSMO'S FACTORY」は、その後けっこう永きに渡る愛聴盤となった。
とにかく、このバンドは曲がキャッチーで、活動期間中に全米第2位を獲得したシングルが5曲もある(逆に全米第1位は無い)。
それら全米第2位になった5曲の内の2曲は、このアルバム収録の"Travelin' Band"と"Lookin' Out My Back Door"だ。
米国南部を連想させる土の匂いのするロックン・ロールがCCRの持ち味なのだが、それを南部からは距離的に遠いカリフォルニア州サンフランシスコ出身のこのバンドが演奏しているというのが面白い。
このバンドのソングライターであるJohn Fogerty〔ジョン・フォガティ〕は非常にクレヴァーな人物なので、こういう音が米国人には受けるということを分かった上で曲作りをしているのだろう。
また、John Fogertyはクレヴァーであると同時に多作なソングライターでもあり、この「COSMO'S FACTORY」をリリースした前年の1969年には、「BAYOU COUNTRY」、「GREEN RIVER」、「WILLY AND THE POOR BOYS」という3枚ものスタジオ・アルバムをリリースしている。
この時代は1年に2枚のスタジオ・アルバムをリリースすることは普通にあったが、3枚もスタジオ・アルバムをリリースというのは極めて稀なのではないだろうか?
解散していないくせに、アルバムのインターヴァルが10年以上もあるような昨今のアーティストはCCRを見習ってほしいものである。