SKUNK ANANSIE〔スカンク・アナンシー〕というバンドを知った切っ掛けは、たぶん洋楽雑誌の「MUSIC LIFE」だったと記憶している。
今回取り上げる1stアルバムの「PARANOID & SUNBURNT」がリリースされたのは1995年である。
1995年と言えば、SKUNK ANANSIEの本国・英国ではBLUR〔ブラー〕の「THE GREAT ESCAPE」とOASIS〔オアシス〕の「(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY?」がリリースさた年であり、「BLUR vs. OASIS」の構図を軸にしたブリットポップ・ムーヴメントが勃発していた時期と重なる。
米国から押し寄せるグランジ/オルタナティヴ・ロックへの反動として、英国全体がクール・ブリタニアを標榜したいた時代に、見た目からしてブリットポップの欠片もない無いSKUNK ANANSIEの登場はかなりの異端であった。
何しろ眼光鋭いスキンヘッドの女性がフロントに立ち、厳つい男達を従えているこのバンドのヴィジュアルは、ちょっと腰が引けてしまうほどの恐ろしさを感じたものである。
SKUNK ANANSIEが1stアルバムの「PARANOID & SUNBURNT」をリリースした1995年当時はインターネットで簡単に音源を試聴できるような時代ではないので(漸くWindows 95がリリースされた年である)、筆者は一方的に、「きっと、このフロントの女性が聴衆をアジテートするだけで、音楽的には面白みの無いバンドだろう」と思い込んでいた。
ところが、深夜番組(当時の筆者は既に働いていたので金曜か土曜に放送されていた番組だと思う)で、シングル"Selling Jesus"のミュージック・ヴィデオを観て、筆者の一方的な思い込みが間違っていたことを知った。
こういう言い方はSKUNK ANANSIEに対して失礼なのかもしれないが、かなり真っ当なヘヴィ・ロックを聴かせてくれる音楽的に優れたバンドだったのである。
この時代、というか1980年代以降、ヘヴィ・ロック系アーティストは英国よりも米国から多く登場するようになったが、SKUNK ANANSIEの音は米国のヘヴィ・ロック系アーティストに引けを取らないクオリティを持っていた。
そして、やはり、スキンヘッドの女性シンガー、Skin〔スキン〕の圧倒的な存在感の凄さだ。
ヘヴィ・ロック系の女性シンガーと言えば激烈に咆哮する印象があるが、Skinの場合は咆哮する場面もありつつ、印象的なメロディを歌える卓越したシンガーなのである。
2000年代以降、女性シンガーを配したヘヴィ・ロック・バンドの登場が増えたが、筆者の中では歌の面でも存在感の面でもSkinよりインパクトのある人には出会えていない。
Skinという女性はスキンヘッドのインパクトが強すぎるので、そこに目が行きがちなのだが、冷静に見ると非常に端正な顔立ちをしており、その端正な顔立ちがアフリカにルーツを持つ民族固有の褐色の肌と相まって実にクールなヴィジュアルの持ち主でもある。
髪を長く伸ばせばかなりの美形になるはずなので、そうすることにより多くの男性ファンを獲得できると思うのだが、そういうことをしないところがこの人のカッコ良さなのだろう。