Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0131) BLACK SKIES IN BROAD DAYLIGHT / LIVING THINGS 【2004年リリース】

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このブログでは2000年以降にデビューしたアーティストの作品を殆ど取り上げていない。


何故なら、Bruce Springsteenブルース・スプリングスティーン〕の「BORN TO RUN」について書いた記事で述べたように、2000年以降のあまりにも小綺麗に作り込まれ過ぎた音を筆者が苦手としているからだ。


このように2000以降にデビューしたアーティストに対し、独りよがりな偏見を持つ筆者でも、「これは良いな」と思ったアーティストが何組かいるので、これから少しずつこのブログで取り上げてみようと思う。


このブログで2000以降にデビューしたアーティストを取り上げた回数が0な訳ではない。


2009年に1stアルバムをリリースしたグラム・メタル・バンドのSTEEL PANTHER〔スティール・パンサー〕の1stアルバム「FEEL THE STEEL」を取り上げたことがある。


しかし、STEEL PANTHERというバンドは既に充分なキャリアのあるミュージシャンが「Tribute to 80s Glam Metal」的なノリで結成したバンドだ。


故に、STEEL PANTHERを新人バンドとして扱うのには少々無理がある。


そういう「ベテランの新人」みないなアーティストを排除して、筆者が2000年以降に登場したアーティストの中で最も良いなと思ったアーティストは、たぶん、THE LIBERTINESザ・リバティーンズ〕だ。


そして、その次は何かと考えると、少ないながらも何組か思い浮かぶのだが、その一つがLIVING THINGS〔リヴィング・シングス〕だ。


今回は、そのLIVING THINGSの1stアルバム「BLACK SKIES IN BROAD DAYLIGHT」を取り上げてみる。


米国・ミズーリ州セントルイス出身のバンドで
・Lillian Berlin〔リリアン・ベルリン〕(vocals, guitar)
・Eve Berlin〔イヴ・ベルリン〕(bass)
・Bosh Berlin〔ボシュ・ベルリン〕(drums)
という具合に、メンバーはBerlin 3兄弟で構成されている(この姓はバーリンと読むのか?)。


次のアルバムからはCory Becker〔コリー・ベッカー〕(guitar)という人物が参加するのだが(この人は他人)、1stアルバムの時点ではBerlin 3兄弟のみである。


筆者がこのLIVING THINGSというバンドに興味を持った切っ掛けは、何かの雑誌に載っていたLillian Berlinのインタビュー記事だ。


記事の内容はうろ覚えだが、『PIXIESピクシーズ〕の「SURFER ROSA」、PJ HARVEY〔ピージェイ・ハーヴェイ〕の「RID OF ME」、NIRVANAニルヴァーナ〕の「IN UTERO」のような美しいアルバムをプロデュースしたSteve Albiniスティーヴ・アルビニ〕に自分たちの1stアルバムのプロデュースを依頼した』と言っていたかと記憶している。


このインタビュー記事を読んだ筆者は、「これは臭うな」と思ったのである。


Lillian Berlinが挙げた3枚のアルバムは、いずれも筆者が若い頃にかなりの回数を聴き込んだ大好きなアルバムだ。


「BLACK SKIES IN BROAD DAYLIGHT」は2004年のリリースなので世界最大の動画共有サービスサイトで試聴することも出来たはずだが、殆ど躊躇することなく試聴もせずにこのアルバムを購入した。


間違いないはずだと予想はしていたのだが、1曲目の" Bombs Below "が鳴った瞬間、予想が確信に変わった。


筆者にとって、このバンド、そして、このアルバムは「大当たり」だったのである。


2000年以降に登場した新人は、ロックン・ロール系やラウド・ロック系のアーティストであっても、最新のテクノロジーで小綺麗にプロデュースされた音を聴かせることが多い。


そんな時代にあって、LIVING THINGSの音はかつてのMC5〔エム・シィー・ファイヴ〕、THE STOOGES〔ザ・ストゥージズ〕、NEW YORK DOLLSニューヨーク・ドールズ〕等に通ずる、むき出しの感情を乱暴にぶつけてくる音だったのである。


2000年以降に顕著なボトムが太くて音圧の高い音作りをしてはいるが、それもほどほどにしているので気にならない。


後からこのバンドのミュージック・ヴィデオも観たのだが、かつてのグラム・ロックのスター達のような煌びやかさを持っており、特にシンガーのLillian Berlinが見せるちょっとした動きがいちいちカッコ良い。


面影が若い頃のMick Jaggerミック・ジャガー〕に少し似ているような気がする。


ちなみに、このバンドのことをサーチエンジンで検索する時に「living things」というキーワードで検索すると本当に色々な「生き物」が出てきたり、LINKIN PARKリンキン・パーク〕のアルバムが出てきたりするので、「living things band」とか「living things berlin」等、単語を組み合わせて検索しなければならないのでちょっと面倒くさい。