SWERVEDRIVER〔スワーヴドライヴァー〕はシューゲイザーにカテゴライズされているバンドだが、実際にはシューゲイザーの定義からは少しはみ出るバンドである。
このバンドのミュージック・ヴィデオを初めて見た時、シューゲイザーという呼称の由来となった「靴を見つめながら演奏する」ようなコミュ障なイメージは無かった。
ヴォーカル&ギターのAdam Franklin〔アダム・フランクリン〕はドレッド・ヘアで、その面影がLenny Kravitz〔レニー・クラヴィッツ〕と酷似しており、シューゲイザーと呼ぶには少々ロックン・ローラー過ぎる印象を与えていたのである。
音の方も真正シューゲイザー・バンドのRIDE〔ライド〕ほど内省的な要素は無く、ロック・バンドとしてのダイナミズムを感じさせてくれる逞しさがある。
#0058で取り上げたADORABLE〔アドラブル〕がシューゲイザーとネオ・グラムの間に咲いた徒花だとすれば、SWERVEDRIVERはシューゲイザーとグランジの間に生まれた突然変異だ。
SWERVEDRIVERは英国オックスフォード出身のバンドではあるが、英国のRIDE やCHAPTERHOUSE〔チャプターハウス〕よりも、米国のDINOSAUR JR.〔ダイナソーJr.〕やPIXIES〔ピクシーズ〕に近いテイストが感じられる。
今回取り上げた、そんなSWERVEDRIVERの1stアルバム「RAISE」は、なかなかの名盤である。
RIDEを厳つくしたと言うべきか、或いは、DINOSAUR JR.を耽美的にしたと言うべきか、似たようなテイストを持つバンドが見つからない。
このアルバム「RAISE」はシューゲイザー・ムーヴメントの真っただ中と言える1991年にリリースされおり、RIDE、MY BLOODY VALENTINE〔マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン〕SLOWDIVE〔スロウダイヴ〕等も所属しているシューゲイザーの名門、クリエイションからリリースされている。
従って、どうしてもシューゲイザーという文脈の中で扱われてしまう傾向があるのだが、それがこのバンドにはマイナスに作用した。
3rdアルバム「EJECTOR SEAT RESERVATION」をリリースした頃にはムーヴメントが沈静化していたため、バンドへの注目度が下がったことを察したのか、あっけなく解散することになる。
SWERVEDRIVERはシューゲイザーとう波に乗らず、孤高のオルタナティヴ・ロック・バンドとして活動していた方が息の長い活動が出来たのではいかと思えて仕方がない。