世代を通して共通するか否かは不明だが、筆者の世代(1960年代後半生まれ)は中学時代の同級生のお兄ちゃんやお姉ちゃんから洋楽ロックを教えてもらった人が多いのではないだろうか?
筆者もまた然りで、ハード・ロック系の洋楽は同級生のお兄ちゃんから沢山教えてもらったし、アイドル性の高い洋楽は同級生のお姉ちゃんから沢山教えてもらった。
今回取り上げるTed Nugent〔テッド・ニュージェント〕の1stアルバム「TED NUGENT」は、中学校の同級生だったO君のお兄ちゃん(彼はバンドマンだった)から教えてもらった1枚である。
ちなみに同級生のEちゃんのお姉ちゃんからはHAIRCUT ONE HUNDRED〔ヘアカット100〕やKAJAGOOGOO〔カジャグーグー〕等を教えてもらい、この辺りから筆者は洋楽に傾倒し始めたのである。
さて、Ted Nugentだが、この人はアメリカン・ハード・ロックン・ロールをこれ以上無い形で解り易く提供してくれる米国を代表する稀代のミュージシャン/ギタリストだ。
1stアルバム「TED NUGENT」は、彼が所属していたTHE AMBOY DUKES〔ジ・アンボイ・デュークス〕解散後に即座に放ったアルバムであり、痛快なアメリカン・ハード・ロックン・ロールが楽しめる最高の一枚となっている。
アルバムのオープニングを飾る"Stranglehold"は、いきなり8分を超える大作なのだが、気負った感じは一切無く、ブルースを根っこに持つTed Nugentのリード・ギターを心行くまで堪能できる圧巻の名演を聴くことができる。
そして、全9曲中8歌曲でリード・ヴォーカルを取るDerek St. Holmes〔デレク・セント・ホルムズ〕の歌いっぷりも良い。
この人は後にAEROSMITH〔エアロスミス〕のBrad Whitford〔ブラッド・ウィットフォード〕と共にアルバム「WHITFORD/ST. HOLMES」をリリースするのだが、この手のアメリカン・ハード・ロックン・ロールにはドン嵌りする声の持ち主である(ちなみに筆者はJoe Perry〔ジョー・ペリー〕よりBrad Whitfordの方が好きだったりする)。
Ted Nugentという人は、「Japのメーカーのギターでブルースが弾けるか!」と言ってのけるような問題発言の多い人なのだが、その程度ことくらいで、いちいち目くじらを立てていてはロックなんて聴いていられない。
そもそもロックン・ローラーなんてものは、多かれ少なかれ壊れているものであり、それを楽しめる余裕がなければロックの面白さなんて解る訳がないのである。