筆者のお気に入りの曲であるCARPENTERS〔カーペンターズ〕の"I Need To Be In Love"(邦題は"青春の輝き")をカヴァーしている遠藤舞の動画をYouTubeで観たことが彼女を知る切っ掛けだった。
時期ははっきりと憶えていないが、5年以上は昔のことだったと思う(この記事を書いている現在は2019年2月である)。
そして、次から次へと関連動画で彼女が歌う他の曲も聴き進めたのだが、とにかく地声が良く、やたらと歌が上手いのである。
当然のことながら、Googleで遠藤舞を検索したところ、彼女がアイドリング!!!というアイドル・グループに所属している(当時)現役のアイドルであるということが判った。
しかし、遠藤舞がアイドルというのが、筆者には少し意外だった。
確かにアイドルと言われれば、それに相応しい美しい容姿の持ち主なのだが、彼女の醸し出す空気感は、アイドルという言葉から連想される人工的な煌びやかさからは遠い感じがしたのである。
彼女が所属するアイドリング!!!のバラエティ番組も観てみたのだが、若い女性にやらせるには、ちょっと可哀そうなくらい過酷な企画が多く、そこで観たアイドルの遠藤舞が、シンガーとして歌っている時の彼女とは、かなり雰囲気が違うので、筆者の中では同一人物として認識することに戸惑いを覚えた。
今回取り上げた「最終回」は、そんな遠藤舞の最初で最後のアルバムである。
彼女は既に、このアルバムをリリースした2017年の12月に引退している。
こういう言い方は、遠藤舞や他のアイドルに失礼になるのだが、彼女はアイドルという言葉とは容易に結び付かないほど歌が上手い。
テレビで何度か歌が上手いと言われているアイドル(名前は判らない)の歌唱を聴いたこともあるのだが、確かに下手ではないのだが、「私、上手いでしょ!」的な押し付けがましさがあり、好きになれなかった。
遠藤舞の歌唱には、そういった押し付けがましさが全く無く、確かな音程を実にナチュラルな美声で聴かせてくれる(Wikipediaによると遠藤舞は絶対音感の持ち主だそうだ)。
母体であるアイドリング!!!の曲も聴いてみたのだが、彼女はCメロ(落ちサビ)でソロパートを担当することが多く、彼女が歌うと一瞬にして曲の空気感が変わる。
彼女が歌う落ちサビを聴くだけで、彼女のシンガーとしてのスキルの高さが窺い知れる。
ただ、そのナチュラルな声と同様に、性格が淡白なのか、ライバルを踏みつけてでも成功を掴み取ろうとするような上昇志向が無く、競争や人付き合いが苦手な性格のようだ。
芸能界への恋々とした思いも薄かったのか、自分の集大成とも言えるこのアルバムのリリースとほぼ同時に引退するという荒業も、彼女の歌声の一ファンとしては勿体ない気もするが、それはそれで彼女らしい気もする。
最近知ったのだが、現在はヴォイス・トレーナーとしのキャリアを歩んでいるらしい。
また彼女の美しい歌声が聴ける機会がありそうで、少し嬉しい気持ちになれた。