自分が歳をとってから(40歳を過ぎた頃くらいから)、頻繁に聴くようになった音楽のジャンルがある。
その一つがブルー・アイド・ソウル系の男性ソロ・シンガーだ。
例えば、Frankie Miller〔フランキー・ミラー〕やJess Roden〔ジェス・ローデン〕は、40歳を過ぎてから聴き始めたアーティストだ。
Rod Stewart〔ロッド・スチュアート〕やRobert Palmer〔ロバート・パーマー〕は10代の頃から聴いていたが、筆者にとっては、Rod StewartはFACES〔フェイセズ〕のシンガー、Robert PalmerはTHE POWER STATION〔ザ・パワー・ステーション〕のシンガーというイメージの方が強い。
そもそも、10代の頃はソロ・シンガーよりもバンドの方が圧倒的に好きだったのである。
ただ、人は歳を取るものであり、若い時に好きだった音楽を聴くのが少々しんどく感じる時がある。
例えば、ハード・ロック、ヘヴィ・メタル、パンク・ロック、ニュー・ウェイヴ等の尖った音は、もちろん今でも好きなのだが、気合の充実していないと聴くのがしんどい。
そうなると、気合の充実していない時でも気楽に聴けるアーティストの作品に手が伸び、それがブルー・アイド・ソウル系の男性ソロ・シンガーになることが多い。
今回取り上げたJoe Cocker〔ジョー・コッカー〕の2ndアルバム「JOE COCKER!」も気楽に聴きたい時に自然と手が伸びる一枚だ。
Joe Cockerのことは、10代の頃に、映画「愛と青春の旅だち」の主題歌"Up Where We Belong"や、Billy Preston〔ビリー・プレストン〕のカヴァー曲"You Are So Beautiful"という大ヒット曲を聴いて、「声が渋くて歌の上手い人だな」とは思っていたのだが、彼のアルバムを買って聴くまでには至らなかった。
10代の筆者とってのJoe Cockerは、あまりにも成熟していて、ちょっと刺激が足りなかったのだろう。
しかし、50代が目前に迫ったこの歳で聴くと、実にすんなりと耳に入ってくるのである。
このアルバムはJoe Cocker自身が書いたオリジナル曲は1曲のみであり、他は全てカヴァーだ。
昔はオリジナル曲を書くアーティストへの拘りがあったのだが、最近はそんな拘りも無くなり、カヴァー曲を楽しめるようになった。