Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0187) SEX & RELIGION / VAI 【1993年リリース】

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Steve Vaiスティーヴ・ヴァイ〕のことを知ったのは、元RAINBOW〔レインボー〕のGraham Bonnet〔グラハム・ボネット〕が率いるALCATRAZZ〔アルカトラス〕に、あのYngwie Malmsteenイングヴェイ・マルムスティーン〕の後任として彼が参加した時だ。


ただし、この時は上記の情報を洋楽雑誌で知っただけで、Steve Vaiが参加したALCATRAZZの2ndアルバム「DISTURBING THE PEACE」は聴いていなかった。


実際にSteve Vaiが演奏するギターを初めて聴いたのは、VAN HALENヴァン・ヘイレン〕を脱退したDavid Lee Roth〔デイヴィッド・リー・ロス〕の1stフル・レングス・アルバム「EAT 'EM AND SMILE」を聴いた時だ。


「EAT 'EM AND SMILE」に収録されている"Yankee Rose"の冒頭でSteve Vaiが人の喋り声や笑い声をギターで弾いているのを観て、「何なんこれ?」と驚いたことをはっきりと記憶している。


そして、あのEddie Van Halen〔エディ・ヴァン・ヘイレン〕という天才ギタリストと一緒にやっていたシンガーのバック・バンドのギタリストはここまでスキルフルな人材でなければ成立しないのかと思ったものである。


その後はSteve Vaiの作品を追いかけることになるのだが、今回取り上げた「SEX & RELIGION」を聴いた時は逆の意味で驚いた。


このアルバムは、VAI〔ヴァイ〕というバンド名義でリリースされた2019年4月現在での唯一のアルバムなのだが、ドラムスに同じザッパ門下生のTerry Bozzio〔テリー・ボジオ〕、ベースにT. M. Stevens〔T.M.スティーヴンス〕という有名どころを迎えていながら、シンガーには当時ほぼ無名のDevin Townsend〔デヴィン・タウンゼンド〕を迎えているのである。


Devin Townsendは1972年生まれなので、「SEX & RELIGION」がリリースされた時は若干21歳だ。


Graham BonnetやDavid Lee Rothというレジェンド級のシンガーとやっていたギタリストが組んだバンドのシンガーとしては弱すぎるだろと思ったのだが、音を聴いて「なめてました、ごめんなさい」という気分になった。


バンド名はVAIであり、もちろんSteve Vaiのギターを存分に楽しめる作品なのだが、このアルバムはDevin Townsendのアルバムである。


大物達に囲まれながらも全く物怖じすることなく、ハードな曲もソフトな曲も実に堂々と歌い上げている。


その後のDevin Townsendの奇才ぶりは、この時点で既に完成されていたのだ。