Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0189) MEANTIME / HELMET 【1992年リリース】

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HELMET〔ヘルメット〕。


いかにも硬そうな音を出しそうなバンド名である。


ロック・バンドの場合、あえて逆を狙ってバンド名を付けるということもあるのだが、やはり、このバンド名でバブルバム・ポップを演奏するということはありえないだろう。


スタジオ・アルバムをコンプリートしているバンドでも、結局のところCDラックから取り出して聴くアルバムは1枚に集中するという方も多いのではないだろうか?


筆者にとっては、今回取り上げたHELMETの2ndアルバム「MEANTIME」が正にそのアルバムなのである。


同じ年(1992年)にリリースされたPANTERA〔パンテラ〕の「VULGAR DISPLAY OF POWER」と共に、当時、聴きまくったアルバムだ。


PANTERAを聴いた時は「重い」と感じたが、HELMETを聴いた時は「硬い」と感じた。


「MEANTIME」を擬音で表現すると、「カキンコキン」という感じなのである。


HELMETとは、結局のところヴォーカルとリード・ギターを担当するPage Hamilton〔ペイジ・ハミルトン〕のソロ・プロジェクトに近いバンドだ。


Page Hamiltonは、クラシックとジャズの作曲および演奏を専門分野とするマンハッタン音楽学校で本格的な音楽理論を学んだ人物であり、タイプは異なるが、バークリー音楽大学で学びFrank Zappaフランク・ザッパ〕に採譜係として雇われていた実績を持つSteve Vaiスティーヴ・ヴァイ〕に近いと筆者は感じている。


この「MEANTIME」に収録されている曲の全てはPage Hamiltonの高度な音楽理論を基にして完璧に構築されており、どれだけ激しく演奏しても、けして破綻することがないのである。


イノヴェーター(革新者)となるバンドが出てきて人気を博すと、当然のようにフォロワー(追従者)となるバンドが出てきて、それらのバンドもそこそこの人気を博したりするものだが、HELMETのフォロワーで成功したバンドは、ちょっと思いつかない(筆者が知らないだけか?)。


HELMETは1998年に一度解散し、2004年に再結成してからは、この記事を書いている2019年4月現在でも活動を続けており、寡作ながらもアルバムをリリースしているが、HELMET自身も未だに「MEANTIME」を超えられていない。