今回取り上げるSHOCKING BLUE〔ショッキング・ブルー〕はオランダのバンドである。
筆者の持っているオランダのイメージは「格闘技大国」であり、ロックとはあまり結びつかない。
今、パッと思い出せる聴いたことのあるオランダのロック系アーティストと言えば、FOCUS〔フォーカス〕とVANDENBERG〔ヴァンデンバーグ〕だろうか?
そう言えば、オランダはプログレッシヴ・ロックも盛んだったような気がする。
学生時代(30年以上前)にバイト先で仲良くなったU君のお兄さんが筋金入りのプログレ・マニアだったので、オランダのプログレ・バンドを彼から聴かせてもらったと思うのだが、アーティスト名は思い出せない。
そんなオランダのバンドSHOCKING BLUEと言えば、筆者の世代(2019年現在でアラフィフ)ではBANANARAMA〔バナナラマ〕がカヴァーした"Venus"とNIRVANA〔ニルヴァーナ〕がカヴァーした"Love Buzz"ということになる。
それら二つの代表曲が今回取り上げた2ndアルバム「AT HOME」に収録されている(ただし、"Venus"は1969年にリリースされたオリジナルのLPには収録されていない)。
BANANARAMAがカヴァーした"Venus"を聴いた時は「おっ、流石Stock Aitken Waterman〔ストック・エイトキン・ウォーターマン〕!めちゃめちゃ売れそなダンス・ミュージックやん!」と感じ、SHOCKING BLUEのオリジナルを聴いた時に「いやいや、もとからダンス・ミュージックっぽいやん、これ」と感じたものである。
そして、NIRVANAがカヴァーした"Love Buzz"を聴いた時は、「えっ、これってNIRVANAのオリジナルなんちゃうん?たぶん、これはだいぶいじったはるなぁ~」と感じたのだが、SHOCKING BLUEのオリジナルを聴いて「えっ、なにこれ?もとからNIRVANAっぽいやん」と意表を突かれしまい、"Venus"とのあまりの違いに驚いた。
改めて、この「AT HOME」を聴くと、かなりしっかりとロックしていることに気付く。
このバンドは、どうしても"Venus"の印象が強すぎて、キャッチーなポップ・ロック・バンドという先入観を持たれてしまい易いと思うのだが、その実態は1990年代以降のオルタナティヴ・ロックにも通じるなかなかカッコ良いロック・バンドなのである。
逆に、ずば抜けてキャッチーな"Venus"が全体の中で浮いていると感じるくらいだ。