ジャズ・フュージョンのトップ・アーティストと言えば、たぶんWEATHER REPORT〔ウェザー・リポート〕ということになるのだろう。
筆者は、あくまでもロック・リスナーであり、ジャズに関しては自分で聴きたいアーティストを探し出してまで聴くようなことは殆ど無い。
筆者が聴くジャズのアーティストは、筆者が若い頃に長期出張で赴任していたとある地方都市のジャズ喫茶のマスターから教えてもらったものばかりだ。
そんなジャズとの縁が薄い筆者でも、ロックを聴き始めた頃(1980年代初期)から知っていたジャズ・フュージョン・バンドがWEATHER REPORTだ。
ただし、その頃の筆者はWEATHER REPORTというバンド名を知っていただけで、それがジャズ・フュージョン・バンドだということまでは知らなかった。
そんなWEATHER REPORTを初めて聴いたのも件のジャズ喫茶だった。
#0192で取り上げたChick Corea〔チック・コリア〕の1stアルバム「RETURN TO FOREVER」(ただし、これは実質的にはRETURN TO FOREVER〔リターン・トゥ・フォーエヴァー〕というバンドの1stアルバムだ)でジャズ・フュージョンに嵌った筆者は、他のジャズ・フュージョンのアーティストも聴いてみたくなり、件のジャズ喫茶のマスターから教えてもらったのが、今回取り上げたWEATHER REPORTの1stアルバム「WEATHER REPORT」だった。
WEATHER REPORTは、Chick Coreaと同様、Miles Davis〔マイルス・デイヴィス〕のアルバムに参加していたWayne Shorter〔ウェイン・ショーター〕(Tenor Sax, Soprano Sax)とJoe Zawinul〔ジョー・ザヴィヌル〕(Electric Piano, Acoustic Piano)の二人を中心に結成されたバンドだ。
故に、筆者はこのアルバム「WEATHER REPORT」の音楽性を「RETURN TO FOREVER」のような清々しいジャズ・フュージョンであると勝手に予想していたのだが、このバンドの音楽性は「RETURN TO FOREVER」とはだいぶ違っていた。
このアルバムは、最初から最後まで、とにかく、ずっと混沌とした雰囲気が続くのである。
収録曲は不安定な天気の如く、コロコロとその様相を変えてゆき、将に天気予報というそのバンド名のとおり、移り変わる天気を随時伝えているようなのである。
これは、聴き方を変えるとプログレッシヴ・ロックとしても聴けるアルバムなのである。