1990年代において、THE PRODIGY〔ザ・プロディジー〕、THE CHEMICAL BROTHERS〔ザ・ケミカル・ブラザーズ〕、ORBITAL〔オービタル〕と共に人気を博したエレクトロニカのアーティストが、今回取り上げるUNDERWORLD〔アンダーワールド〕だ。
日本では、この四つのグループを纏めて「テクノ四天王」と呼ぶらしい。
かつて、KISS〔キッス〕、AEROSMITH〔エアロスミス〕、QUEEN〔クイーン〕を「ロック御三家」と呼んだり、IRON MAIDEN〔アイアン・メイデン〕、DEF LEPPARD〔デフ・レパード〕、GIRL〔ガール〕、WILD HORSES〔ワイルド・ホーシズ〕を「NWOBHM四天王」と呼んだり、とかく日本人は御三家とか四天王という「纏め」の表現が好きな民族である。
さて、UNDERWORLDだが、筆者がテクノ四天王の中で最も好きなアーティストが、このUNDERWORLDなのである。
そして、今回取り上げるのは彼らの4thアルバム「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」だ。
この「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」もそうなのだが、UNDERWORLDの曲には何とも言えない彼ら独特のエレガントな味わいがある。
UNDERWORLD のエレガントな味わいが極めて濃く出た曲が映画『トレインスポッティング』に起用された大ヒット曲"Born Slippy .NUXX"だと思うのだが、それをアルバムというフォーマットで楽しめるのが「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」と言えるだろう。
「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」には"Born Slippy .NUXX"は収録されていないのだが(リイシュー盤には収録されている)、"Born Slippy .NUXX"を気に入った人ならかなり高い確率でこのアルバムを楽しむことができるだろう。
ところで、先ほど、この「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」を4thアルバムと書いたが、UNDERWORLD自身は前作(3rdアルバム)の「DUBNOBASSWITHMYHEADMAN」を真の1stアルバムとして捉えているふしがあり、そのアーティスト側の意向に従うなら「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」は2ndアルバムということになる。
かく言う筆者も「DUBNOBASSWITHMYHEADMAN」を聴いた時にこれを1stアルバムだと思い込んでいた。
確かに、1stアルバム「UNDERNEATH THE RADAR」と2ndアルバムは「CHANGE THE WEATHER」は音楽性もエレクトロニカというよりシンセポップという感じであり、筆者の世代の耳にはニュー・ロマンティックのように聴こえる。
UNDERWORLDが1st~2nd期の自分たちのことを黒歴史と思っているかどうかは不明だが、もしそうなら、そんなところもまた面白くて好きだ。