L.A. GUNS〔L.A.ガンズ / エル・エー・ガンズ〕とは、1980年代後期におけるグラム・メタル・シーンのスーパーグループである。
シンガーが元GIRL〔ガール〕のPhil Lewis〔フィル・ルイス〕、リード・ギタリストが元GUNS N' ROSES〔ガンズ・アンド・ローゼズ〕のTracii Guns〔トレイシー・ガンズ〕、ベーシストが元FASTER PUSSYCAT〔ファスター・プッシーキャット〕のKelly Nickels〔ケリー・ニケルス〕、ドラマーが元W.A.S.P.〔ワスプ〕のSteve Riley〔スティーヴ・ライリー〕、リズム・ギタリストはMick Cripps〔ミック・クリップス〕なのだがこの人だけはL.A. GUNS加入前の経歴がよく分からない。
Tracii Guns の居たGUNS N' ROSESが飛び抜けてビッグだが、GIRL、FASTER PUSSYCAT、W.A.S.P.だってグラム・メタル・マニアの間ではよく知られた存在だ。
Tracii Gunsが元GUNS N' ROSESのメンバーであるが故に、デビュー当時のL.A. GUNSはGUNS N' ROSESのライバルとして扱われた。
1988年に1stアルバムの「L.A. GUNS」がリリースされた頃はかなり注目されていて、けっこうな人気バンドだった記憶がある。
1989年には2ndアルバムの「COCKED & LOADED」がリリースされ、シングル・カットしたバラードの"The Ballad Of Jayne"が全米33位のヒットとなり、GUNS N' ROSESのライバルと呼ぶには無理があるものの、一定の人気を維持していたと思う。
しかし、1991年に、今回取り上げた3rdアルバムの「HOLLYWOOD VAMPIRES」をリリースした後くらいから雲行きが怪しくなってきた。
この「HOLLYWOOD VAMPIRES」というアルバム、1曲目 "Over The Edge"が日本の「能」からヒントを得たサウンドエフェクトで始まるのである。
こういう始まり方は、持っていかれる人は持っていかれるが、拒絶する人も少なからずいるはずである。
もちろん筆者は持っていかれた方だが、筆者の周りに居たグラム・メタル・マニアからの評判はあまり良くなかった。
とにかくアルバムのオープニングがミステリアスな雰囲気で始まるのだが、2曲目以降の曲もじっくりとアレンジを練り上げたような曲が多く、1st~2ndのような分かり易いメタリックなロックン・ロールは減っている。
その代わり、聴き込むほどに味わいが増すスルメのような曲が増えており、筆者にとっては、L.A. GUNSに対して他のグラム・メタル・バンドとは明確に異なる個性を見出すことが出来た彼らの最高傑作なのである。