ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA〔エレクトリック・ライト・オーケストラ〕(以下、ELO)を知った切っ掛けはTRAVELING WILBURYS〔トラヴェリング・ウィルベリーズ〕だった。
TRAVELING WILBURYSとは、George Harrison〔ジョージ・ハリスン〕、Jeff Lynne〔ジェフ・リン〕、Bob Dylan〔ボブ・ディラン〕、Tom Petty〔トム・ペティ〕、Roy Orbison〔ロイ・オービソン〕から成る覆面バンドだ。
メンバー全員がサングラスを着用した覆面バンドという設定であったが、その正体はバレバレであり、TRAVELING WILBURYSの1stアルバム「TRAVELING WILBURYS VOL. 1」が洋楽雑誌に取り上げられ時には、上記のメンバーの名前が覆面バンドという設定が無かったかの如く記述されていたように記憶している。
ただし、筆者にとって、Jeff Lynneという名前だけは、他のメンバーに比べて、「あれ?誰だったかな?」という印象だった。
とにかく、筆者にとって、「何となく聞いた記憶のある名前」のJeff Lynneを友人のU君のお兄さん(彼は熱狂的なプログレッシヴ・ロック・マニア)に訊いてみたところ、それがELOことELECTRIC LIGHT ORCHESTRAのリーダーであることが分かった。
筆者の記憶では、ELOのアルバムは、当時の洋楽雑誌で時々特集が組まれていた「過去の名盤」的な記事にはあまり出てこなかったように記憶している。
ELOを聴き始めるにあたり、何から聴くべきか、前述のU君お兄さんに訊いたところ、彼が貸してくれたのが今回取り上げた8thアルバム「DISCOVERY」だった。
プログレっぽい音を予想して聴いたのだが、スピーカーから出てきたELOの曲は、10cc〔テンシーシー〕やBADFINGER〔バッドフィンガー〕等、THE BEATLES〔ザ・ビートルズ〕に繋がる芸術性を追求しつつも、飛び切りキャッチーなポップ・ロックだった。
このアルバムを聴いて、ちょっと驚くのは、このアルバムがリリースされた年が1979年であるということだ。
パンクをリアルタイムで経験していない筆者にとって、1979年というと、パンク・ムーヴメントにより旧来のロックが一掃された焼け野原を思い浮かべるのだが、このアルバム「DISCOVERY」はUKチャート1位を獲得している。
このアルバムを聴くと、パンクは新しかったが、全てを壊せたわけではないことが分かるのが面白い。