ORBITAL〔オービタル〕はPhil Hartnoll〔フィル・ハートノル〕とPaul Hartnoll〔ポール・ハートノル〕の兄弟で構成される英国のテクノ・デュオだ。
同じ英国出身のテクノ・デュオTHE CHEMICAL BROTHERS〔ザ・ケミカル・ブラザーズ〕のTom Rowlands〔トム・ローランズ〕とEd Simons〔エド・シモンズ〕は兄弟(Brothers)と名乗ってはいるが本当の兄弟ではない。
しかし、ORBITALの二人は本当の兄弟だ。
UNDERWORLD 〔アンダーワールド〕、THE PRODIGY〔ザ・プロディジー〕、THE CHEMICAL BROTHERSと、今回取り上げているORBITALを「テクノ四天王」というらしい。
ただし、「テクノ四天王」は、METALLICA〔メタリカ〕、MEGADETH〔メガデス〕、SLAYER〔スレイヤー〕、ANTHRAX〔アンスラックス〕から成る「スラッシュ・メタル四天王(Big Four)」のように世界的に認知されたものではなく、日本だけで通用するローカルなものらしい。
ORBITALは、「テクノ四天王」の中で、筆者が最も後から聴いたアーティストだ。
テクノを含めたエレクトロニカと呼ばれる音楽が盛り上がり始めたのは、確か1990年代の中頃からなのだが(この時期にUNDERWORLD、THE PRODIGY、THE CHEMICAL BROTHERSも名盤をリリースしている)、当時、毎月買っていた洋楽雑誌でORBITALは、テクノ四天王の他の3組ほど取り上げられていなかったように記憶している。
今回取り上げたORBITALの4thアルバム「IN SIDES」は、このブログで取り上げてきたUNDERWORLDの「SECOND TOUGHEST IN THE INFANTS」(1996年リリース)、THE PRODIGYの「THE FAT OF THE LAND」(1997年リリース)、THE CHEMICAL BROTHERSの「DIG YOUR OWN HOLE」(1997年リリース)よりも若干影が薄いのではないだろうか?
ORBITALのアルバムは、1stアルバム「ORBITAL (GREEN ALBUM)」(1991年リリース)や、2ndアルバム「ORBITAL (BROWN ALBUM)」(1993年リリース)等、初期の作品の方が高い評価を得ている。
しかし、筆者が聴いた最初のORBITALのアルバムが「IN SIDES」だったことと、このアルバムがリリースされた当時(1996年)、凄まじい勢いでシーンに食い込んできたドラムン・ベースの影響が強く出ていることもあり、筆者の場合、ORBITALというと、どうにもこのアルバムばかりを聴いてしまう。
このアルバムで聴けるアンビエント・テクノとドラムン・ベースを融合したような音楽は、ロックにかなり接近していた当時の他のテクノ四天王とはかなり距離があり、孤高のテクノ・アーティストといった趣も面白い。