#210.5で自分の生まれ年(1969年)にリリースされたロック・アルバムのリストを作った。
ロックの黄金時代なので凄いアルバムが沢山リリースされており、聴いたことのあるアルバムもあれば、聴いたことのないアルバムもある。
この年にリリースされたアルバムを改めて何枚か聴いてみたのだが、その中で一際異彩を放つアルバムがあった。
それが今回取り上げたLED ZEPPELIN〔レッド・ツェッペリン〕の1stアルバム「LED ZEPPELIN」だ。
どこが「異彩を放つ」のかと言うと、同じ年にリリースされた他のアルバムに比べて圧倒的に新しいのである。
もちろん、1969年にリリースされたアルバムなのでこの記事を書いている2019年から見ると、遥か昔のアルバムだ。
しかし、このアルバムから感じられる新しさ、1969年という時代には似つかわしくない新しさは一体どこから来るのだろう。
ブルースをベースにしたロックであり、ある意味ロックのセオリーどおりなのだが、LED ZEPPELIN以前のブルース・ロック・バンドとは明らかに違ったテイストを持っている。
まだヘヴィ・メタルなんて無いこの時代の人達はRobert Plant〔ロバート・プラント〕の金属的な声にどれくらいの衝撃をうけたのだろう?
あるヴォイス・トレーナーが、「ヴォーカルは管楽器である」と言っているのを聴いたことがあるが、Robert Plantの歌唱を聴いていると確かにそうだなと納得できる。
John Bonham〔ジョン・ボーナム〕が叩き鳴らす空気の振動が伝わってくるようなドラムも凄い。
もちろん、Jimmy Page〔ジミー・ペイジ〕のギター、John Paul Jones〔ジョン・ポール・ジョーンズ〕のベースとキーボードも凄いのだが、LED ZEPPELINの音を新しいと感させる最大の要因はRobert PlantのヴォーカルとJohn Bonhamのドラムのような気がする。
LED ZEPPELIN、DEEP PURPLE〔ディープ・パープル〕、BLACK SABBATH〔ブラック・サバス〕を3大ハード・ロック・バンドと言うそうだが、もし、LED ZEPPELINがいなかったらDEEP PURPLEやBLACK SABBATHの音はもう少し違ったものになっていた可能性すらある。
LED ZEPPELINとは、「好き」、「嫌い」という単純な二元論的評価を超越したロックのイノヴェーターなのである。