今回取り上げているKREATORは日本語表記が〔クリーター〕なのか〔クリエイター〕なのか、はっきり定まっていないバンドだ。
KREATORのアルバムをリリースする日本のレコード会社によって、〔クリーター〕と表記する会社もあれば、〔クリエイター〕と表記する会社もある。
かつて、QUEENSRŸCHEは〔クイーンズライチ〕から〔クイーンズライク〕に日本語表記が変わり、ARCH ENEMYは〔アーク・エネミー〕から〔アーチ・エネミー〕に日本語表記が変わった。
QUEENSRŸCHEとARCH ENEMYは実際の発音に近い方に日本語表記が落ち着いたらしいが、KREATORの場合はどちらが実際の発音に近いのか未だによく分からない。
KREATORは、ここ日本で「ジャーマン・スラッシュ三羽烏」と呼ばれる3バンドの中の1つだ。
他の2つはSODOM〔ソドム〕とDESTRUCTION〔デストラクション〕であり、これにTANKARD〔タンカード〕を加えて、ドイツではThe Big Teutonic Fourと呼ぶらしいが、こちらの呼び方は日本ではあまり馴染みがない。
ジャーマン・スラッシュ三羽烏の3バンド全てに共通のことなのだが、初期(1980年代後半)の彼らの音楽性は、スラッシュ・メタル発祥の地である米国のバンドよりもスラッシュらしさが際立った指向性を持つ。
まだドイツが東西に分かれていた頃、東ドイツはソ連経済圏の中で、ソ連よりも安定した計画経済を成功させたように、ドイツ人というのは外国から取り入れた「モノ」を洗練させることに長けているようである。
KREATORのアルバムで好きなものを1枚選ぶのは難しく、5thアルバム「COMA OF SOULS」までは、どのアルバムも好きなのだが(と言うより、KREATORのアルバムは「COMA OF SOULS」までしか聴いていないと書くべきかもしれない)、1枚選ぶとなると3rdアルバム「TERRIBLE CERTAINTY」になる。
「TERRIBLE CERTAINTY」は最初に聴いたKREATORのアルバムであり、愛着が強い。
先ほど彼らのことを「本家の米国産スラッシュよりもスラッシュらしい」と書いたが、そこはやはりドイツのバンドだけにヨーロッパ風のテイスト(暗黒感)が多分に含まれており、そこがこのバンドの最大の魅力である。
「TERRIBLE CERTAINTY」を初めて聴いたときに惹かれたのは、ヒステリックな高速の中に潜む耽美的な世界観であり、一度に美醜の両面を見せつけられるようなエグい刺激だったのである。