Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0252) ETERNITY / ANATHEMA 【1996年リリース】

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英国にはThe Peaceville Three〔ザ・ピースヴィル・スリー〕と呼ばれるゴシック・メタル・バンドが存在し、その中からPARADISE LOST〔パラダイス・ロスト〕とMY DYING BRIDE〔マイ・ダイイング・ブライド〕は既にこのブログで取り上げている。


こうなるとANATHEMA〔アナセマ〕を取り上げないわけにはいかないので、今回はANATHEMAの3rdアルバム「ETERNITY」を取り上げることにする。


The Peaceville Threeとは上記の3バンドがピースヴィル・レコードに所属していたので、そのように呼ばれるようになった。


所謂、日本でいうところの三羽烏や御三家にあたる訳だが、この手の呼称は日本独自のものであることが多く、そのアーティストの母国ではそう呼ばれていないことが殆どだ。


しかし、The Peaceville Threeに関しては彼らの母国の英国でも通用する呼称のようである。


今回取り上げたANATHEMAも、或いは過去に取り上げたPARADISE LOSTやMY DYING BRIDEもゴシック・メタルと一括りに纏めているが、その音楽性は様々であり、更に言うと3バンド共にアルバム毎に音楽性をガラッと変えてくる傾向が強い。


中でもANATHEMAは特に音楽性のふり幅が大きい。


ANATHEMAはこの記事を書いている2019年現在でも活動を続けているバンドだが、近年はゴシック・メタルというよりもプログレッシヴ・メタル的なアプローチが強くなってきている。


今回取り上げた3rdアルバム「ETERNITY」はANATHEMAが最もゴシック・メタルに傾倒した作品であり、ゴシック・メタル・バンドとしてのANATHEMAを味わいたいのであれば、先ずはこのアルバムを聴くべきだろう。


ゴシック・メタルには、重苦しく暗澹たる世界観を描いた音楽というイメージがあるが、このアルバムも確かにその要素は多分にあるものの、荘厳とも言える美しさもあり、このジャンルの作品としては意外なほどポップでキャッチーな要素を合わせ持っている。


ゴシック・メタル・バンドの多くは、元々はデス・メタルやその派生であるデス・ドゥームから出発してゴシック・メタルに辿り着くバンドが多く、ANATHEMAもその流れの中にあると言えるのだが、この3rdアルバム「ETERNITY」ではデスっぽい要素は殆ど残っていない。


こういう中世ヨーロッパの闇を感じさせるようなゴシカルな音楽は、その長い歴史の中にキリスト教が深く入り込んだヨーロッパの人にしか出せない音なのであろう。