#0259) HEAVEN IS WAITING / THE DANSE SOCIETY 【1983年リリース】

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ポジティヴ・パンクというジャンルのアーティストを取り上げる時は、必ずポジティヴ・パンクについての説明を書くことにしている。


その理由は二つあり、一つはポジティヴ・パンクというジャンル名が現在(2019年)では使われなくなっているということ、もう一つはポジティヴ・パンクというジャンル名に使われているpositive(肯定的な、前向きな、陽性の)という言葉がこのジャンルの殆どのアーティストの音楽性とは結び付きにくいからだ。


ポジティヴ・パンクとは、現在で言うゴシック・ロックのことである。


当時のポジティヴ・パンクの実態を知らない人がこのジャンル名を聞くと、たぶん「明るく前向きなことを歌うパンク」と誤解するのではないだろうか?


少なくとも、ゴシック・ロックのような陰鬱な音は想像しないような気がする。


ポジティヴ・パンクというジャンル名の由来はややこしい。


オリジナル・パンクやその後継者であるハードコア・パンクが社会批判や政治批判を繰り返すnegative(否定的な)な傾向があることに対し、そのような否定的なメッセージを持たず、独自の美意識による世界観を構築していたアーティストのことを当時の英国のメディアがポジティヴ・パンクと言ったことがその命名の由来なのである。


いかにも無理やりな命名であり、それ故、今回取り上げたTHE DANSE SOCIETY〔ザ・ダンス・ソサエティー〕は、SEX GANG CHILDREN〔セックス・ギャング・チルドレン〕、SOUTHERN DEATH CULT〔サザン・デス・カルト〕と並びポジティヴ・パンク御三家と呼ばれていたのだが、3バンドには音楽性やバンド・イメージにかなりの違いがあったため、結局ポジティヴ・パンクがロックの新しいジャンルとして根付くことはなかった。


THE DANSE SOCIETYの音楽性は耽美的な空気感が漂うダークなシンセポップであり、SEX GANG CHILDRENやSOUTHERN DEATH CULTよりもJAPAN〔ジャパン〕に近いと筆者は感じていて、シンガーのSteve Rawlings〔ティーヴ・ロウリングス〕はDavid Sylvianデヴィッド・シルヴィアン〕に匹敵する美青年だったので上手にプロモーションできれば日本ではアイドル的な人気を得られた可能性もある。


今回取り上げた「HEAVEN IS WAITING」は彼らの2ndアルバムであり、音楽的創造性のピークであるとも言える作品だが、今回改めて聴き直してみたところ、あまりのカッコ良さに今週のヘヴィ・ローテーション・アルバムになってしまったことに自分自身で驚いている。