英国のグラム・ロックを象徴するアーティストと言えば、それはT. REX〔T・レックス〕なのだろう(Marc Bolan〔マーク・ボラン〕と言った方が妥当なのだろうか?)。
そして、T. REXに続くアーティストとなると、David Bowie〔デヴィッド・ボウイ〕やROXY MUSIC〔ロキシー・ミュージック〕の名を挙げるのが順当そうだし、この二組は現在(2020年)でも評価が高い。
Bowieが楽曲提供およびプロデュースして起死回生のヒットを放ったMOTT THE HOOPLE〔モット・ザ・フープル〕の名も挙がるかもしれないし、本国の英国ではさっぱりだったらしいが日本では人気の高いSILVERHEAD〔シルヴァーヘッド〕の名も挙がりそうだ。
英国のグラム・ロックで忘れてはならないバンドが他に二組ある。
それは、SLADE〔スレイド〕とSWEET〔スウィート〕であり、筆者の中でこの二組は、T. REXを殿堂入りの別格とした場合、英国グラム・ロックの東西横綱というイメージがある。
しかし、この二組はBowieやROXYと比べると、ここ日本では、現在それほど高い評価を得ていないように思える。
今回はこの二組のうち、SLADEを取り上げみる。
取り上げるアルバムは、彼らの代表曲がぎっしりと詰まったコンピレーション・アルバムの「SLADEST」にしようかとも思ったのだが、このブログではオリジナルのスタジオ・アルバムを優先しているので、3rdアルバムの「SLAYED?」を取り上げることにした。
このアルバムには、後にグラム・メタル・バンドのQUIET RIOT〔クワイエット・ライオット〕がカヴァーし、全米5位の大ヒットとなったSLADEの代表曲"Cum On Feel The Noize"は収録されてないのだが、それと肩を並べる彼らの代表曲"Mama Weer All Crazee Now"が収録されている(ちなみにQUIET RIOTはこの曲もカヴァーしている)。
このアルバムは「全曲シングルか?」と思えるほど収録曲の全てがキャッチーで、SLADEというバンドのソングライターとしての凄さを見せつけられる一枚なのである。
Janis Joplin〔ジャニス・ジョプリン〕の名曲"Move Over"のカヴァーも収録されているのだが、これがまたSLADE流のグラム感溢れるロックン・ロールに仕上げられていて実にカッコ良い。
英国グラム・ロックの名盤は数多存在するが、英国グラム・ロックの神髄を知りたければ、先ずはこのアルバムを聴くべきである。