今回取り上げるUNDER NEATH WHAT〔アンダー・ニース・ホワット〕は1989年に1stアルバム「WHAT IS IT」をリリースし、その後はEPやシングルをリリースしたものの、早々に消えてしまった英国のバンドである。
見た目に華のあるバンドだったので、デビュー直後に一瞬だけ話題になった記憶があるのだが、2020年現在ではWikipediaにもアーティスト情報の掲載が無い。
このアルバムがリリースされた1989年にはロックの歴史に燦然と輝く名盤、THE STONE ROSES〔ザ・ストーン・ローゼズ〕の1stアルバム「THE STONE ROSES」(邦題「石と薔薇」)がリリースされた年であり、これ以降の英国は暫くの間、バギー・パンツを履いて、マラカスを振って、享楽的に踊り狂うマッドチェスターのムーヴメントが吹き荒れることになる。
THE STONE ROSESと同郷のマンチェスターからはHAPPY MONDAYS〔ハッピー・マンデーズ〕やINSPIRAL CARPETS〔インスパイラル・カーペッツ〕、ウエスト・ミッドランズからはTHE CHARLATANS〔ザ・シャーラタンズ〕が登場し、それぞれが大きな成功を手にしていたが、やはりこの時代はTHE STONE ROSESの一人勝ち状態だったと言わざるを得ない。
筆者も当時はTHE STONE ROSESを喜んで聴いていて、来日公演を観に行くほど嵌っていたのだが、特定のアーティストが一人勝ちしているシーンというのは面白くないとも感じていた。
そんな時に登場した新人バンドが今回取り上げているUNDER NEATH WHATであり、マッドチェスターとは全く異なるアプローチをしていたこのバンドに大きな期待を寄せていた。
UNDER NEATH WHATの音楽性は、CREAM〔クリーム〕やTHE JIMI HENDRIX EXPERIENCE〔ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス〕からの影響が濃いブルース・ロック~サイケデリック・ロックであり、グラム・ロックに通じる華やかさもあり、音楽的には古典的なアプローチをしていた。
これは、ロックとダンスを融合させて新しい音楽の創造を目指したマッドチェスターとは対照的なアプローチであり、筆者はむしろUNDER NEATH WHATの古典的なアプローチに対し、THE STONE ROSESに対抗し得る次なるスターの誕生を予感したのだが、結果としては大ハズレになった訳である。
今回久しぶりに、このUNDER NEATH WHATの1stアルバム「WHAT IS IT」を聴いてみたのだが、3ピース・バンドらしいなかなかの好盤である。
時計の針を戻すことは不可能だが、もう少し高い評価を得られても良いバンドだったような気がする。