1980年前後に英国で勃発したNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)の四天王はIRON MAIDEN〔アイアン・メイデン〕、DEF LEPPARD〔デフ・レパード〕、GIRL〔ガール〕、WILD HORSES〔ワイルド・ホーシズ〕ということになっているらしい。
ただし、この中で純粋にヘヴィ・メタルと言い切れるバンドはIRON MAIDENだけであり、他のバンドはハード・ロックだ。
今回はGIRLの1stアルバム「SHEER GREED」を取り上げてみる(他の三つも好きなバンドなので、こちらもそのうち取り上げたい)。
筆者はGIRLの1stアルバム「SHEER GREED」を超名盤だと思っているのだが、このアルバムには一つ大きな難点がある。
このアルバムには色々なタイプの曲が詰まっていて、全ての曲のクオリティが高いのだが、1曲目の"Hollywood Tease"が余りにもカッコ良すぎる名曲なので、他の曲がどうしても霞んでしまうのである。
1曲ずつ聴けば他の曲もかなり良い曲が揃っているにも関わらず、アルバム冒頭で聴く"Hollywood Tease"に全てを持っていかれてしまい、他の曲の良さに気付きにくい。
極論を言ってしまうと、GIRLというバンドは"Hollywood Tease"という超絶的にカッコ良いハード・ロック・ナンバーを書いただけで、もう充分と言えるだけの価値があるのだ。
GIRLはこの1stアルバム「SHEER GREED」をリリースした後、マネジメントとのトラブルがあり、2ndアルバムの制作とリリースが難航したらしい。
1stアルバム「SHEER GREED」のリリースが1980年、2ndアルバム「WASTED YOUTH」のリリースが1982年なので、アルバム・リリースのインターバルが約1年ある。
1年のインターバルなど現在では当たり前だが、当時はインターネットで簡単に情報を発信できる時代ではないので、バンド運営に致命的なダメージを与えることがあった。
結局、2ndアルバムのリリース後、バンド運営は上手く行かず、リード・ギタリストのPhil Collen〔フィル・コリン〕がDEF LEPPARDに引き抜かれ、GIRLは解散となる。
シンガーのPhil Lewis〔フィル・ルイス〕はBernie Tormé〔バーニー・トーメ〕とのバンドTORMÉでの活動を経て米国に渡り、L.A. GUNS〔L.A.ガンズ〕で一定の成功を修めることとなる。
ちなみにPhil Lewisはロックの歴史上、最も美しい容姿を持った人物の一人でもある。