今回はKAJAGOOGOO〔カジャグーグー〕の1stアルバム「WHITE FEATHERS」取り上げるのだが、このバンドの特徴は演奏が上手いということだ。
KAJAGOOGOOは1980年代初頭に英国で興ったニュー・ロマンティック・ムーヴメントの末期に登場したバンドであり、デビュー・シングルの"Too Shy"(邦題は"君はToo Shy")が全英No.1という快挙を成し遂げている。
ちなみに、KAJAGOOGOOの次にデビュー・シングルが全英No.1となるのはFRANKIE GOES TO HOLLYWOOD〔フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド〕の"Relax"だ。
筆者が当時聴いていた「WHITE FEATHERS」の日本盤のアルバム・カヴァーは下記であり、上に貼ったオリジナルのアルバム・カヴァーとはデザインが大きく異なる。
この日本盤のアルバム・カヴァーのとおり、KAJAGOOGOOはアイドル・バンドとして扱われており、日本でもDURAN DURAN〔デュラン・デュラン〕、CULTURE CLUB〔カルチャー・クラブ〕と共にアイドル・バンド御三家的な存在だった。
しばしば「演奏もまともに出来ないアイドル・バンド」という言葉を耳にするが、この時代のアイドル・バンドは高い演奏技術を有していることが多く、むしろポストパンクやニュー・ウェーヴのバンドの方が演奏技術よりもアイディアに重きを置くバンドが多かったため、演奏技術に関してはアイドル・バンドよりも劣っていることが多かった。
KAJAGOOGOOに関しては、アイドル・バンドという枠だけでなく、この時代に登場したバンドの中でトップ・クラスの演奏技術を有していた。
特にベーシストのNick Beggs〔ニック・ベッグス〕はスラップ奏法の名手であり、スティックも演奏できるプレイヤーとして、2020年の現在もTHE MUTE GODS〔ザ・ミュート・ゴッズ〕というプログレッシヴ・ロック・バンドで活動を続けている。
KAJAGOOGOOの音楽を簡単に言うと、高度な演奏技術のファンク・ミュージックに、ヴォーカリストLimahl〔リマール〕の特徴的な甘い歌声を乗せた極めて洗練されたポップ・ミュージックだと言える。
KAJAGOOGOOの活動は一見順調そうに見えたのだが、水面下では金銭問題でLimahlと他のメンバーの間に亀裂が生じ、人気絶頂の中、Limahlが解雇される事態に発展する。
2ndアルバム「ISLANDS」ではNick Beggsがボーカルを兼任したのだが、Limahlという看板スターと彼の特徴的な声を失ったことは予想以上に大きく、商業的成功から遠ざかることになる。