Rock'n'Roll Prisoner's Melancholy

好きな音楽についての四方山話

#0272) DESOLATION BOULEVARD / SWEET 【1974年リリース】

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筆者にとって、1970年代初頭に英国で勃発したグラム・ロック・ムーヴメントの3大バンドと言えば、T. REX〔T・レックス〕、SLADE〔スレイド〕、SWEET〔スウィート〕である。


以前、SLADE を取り上げた時にも同じことを書いたのだが、T. REXは殿堂入りの別格という感じがするので、SLADEとSWEETがこのムーヴメントの東西両横綱というイメージがある。


しかし、SLADEとSWEETの評価は、同じムーヴメントから登場したDavid Bowieデヴィッド・ボウイ〕やROXY MUSICロキシー・ミュージック〕と比べた場合、現在の日本ではあまり高い評価を得ていないような気がして仕方がない。


たぶん、BowieやROXYは時代に合わせて音楽性を器用に変えていったため、アーティスティックで高尚なイメージが定着し、それが現在の日本での高い評価に繋がっているのだろう。


それに対し、SLADEやSWEETには何となくバブルガム・ポップなイメージがあるため、子供向けバンドと思われているふしがあり、それが原因となって現在の日本では高い評価を得られていないのではないだろうか?


このブログでは既にSLADEは取り上げているので、今回はSWEETを取り上げることにする。


SWEETはヒット曲の多いバンドなのでグレイテスト・ヒッツ・アルバムから聴くのもOKなのだが、このブログではオリジナル・アルバムを優先しているので、3rdアルバム「DESOLATION BOULEVARD」を取り上げることにした。


SWEETと言えばNicky Chinn〔ニッキー・チン〕とMike Chapman〔マイク・チャップマン〕のヒット・メーカー・コンビに制御されていたバンドというイメージもあるが、このアルバムではChinnとChapmanの曲は2曲のみであり、SWEETが彼らの制御から離れ始めたアルバムだと言える。


次作以降のアルバムにも同じことが言えるのだが、この頃のSWEETの曲は後の1980年代に盛り上がりを見せるグラム・メタルの雛形のようである(これはSLADEも同じだ)。


SWEETは演奏面でもグラム・メタルに与えた影響が大きいと思うのだが、何よりもBrian Connolly〔ブライアン・コノリー〕の歌い方が筆者のような1980年代からロックを聴き始めた人間にとってはグラム・メタルに聴こえるのだ。


本来はそんなに潰れていないはずの声をわざと潰れているように聴かせたり、そうかと思えば甘く魅惑的な声で聴かせたりという具合なのだが、これは後の1980年代に数多く登場するグラム・メタル・バンドのシンガー達のお手本とも言える歌い方なのである。