筆者は中学生になった頃(1980年代初期)から洋楽ロックを聴き始め、それを拗らせて現在(2020年)に至るのだが、そもそもどういう経緯で洋楽ロックを聴き始めたのかと言うと、それは同級生のお兄さんやお姉さんからの影響である。
例えばO君のお兄さんからはSCORPIONS〔スコーピオンズ〕、UFO〔ユー・エフ・オー〕、Michael Schenker〔マイケル・シェンカー〕、VAN HALEN〔ヴァン・ヘイレン〕等を教えてもらい、Eちゃんのお姉さんからはDURAN DURAN〔デュラン・デュラン〕、KAJAGOOGOO〔カジャグーグー〕、HAIRCUT ONE HUNDRED〔ヘアカット・ワン・ハンドレッド〕、Bryan Adams〔ブライアン・アダムス〕等を教えてもらった。
このEちゃんのお姉さん(Nちゃんとする)は筆者が中1の時に高1だった。
彼女たちのご家庭は裕福で、Nちゃんは沢山のレコードを所有しており、容姿端麗で着ている洋服も高校生とは思えないほどお洒落でファッショナブルであり、筆者にとってはとても眩しい存在の女の子だった。
Nちゃんは音楽だけでなく、COMME des GARÇONS〔コム・デ・ギャルソン〕、arrston volaju〔アーストン・ボラージュ〕、Vivienne Westwood〔ヴィヴィアン・ウエストウッド〕、Paul Smith〔ポール・スミス〕等のファッションにも精通していたので、彼女は筆者にとって音楽やファッション等、文化的側面の先生と言える存在だったのである(ただし、彼女から教えてもらったファッションに関しては、当時の筆者に手が出せるようなブランドは一つも無かったのだが)。
今回取り上げたABCの〔エービーシー〕の1stアルバム「THE LEXICON OF LOVE」もNちゃんからカセット・テープに録音してもらった1枚である。
ABCは1980年代初期の英国で興ったニュー・ロマンティック・ムーヴメントから出てきたバンドであり、"The Look Of Love"のヒットで有名だ。
この時代の英国のバンドのシンガーはボウイッシュかフェリーッシュに分類される人が多い(ボウイッシュとはDavid Bowie〔デヴィッド・ボウイ〕風、フェリーッシュとは、Bryan Ferry〔ブライアン・フェリー〕風という意味だ)。
THE PSYCHEDELIC FURS〔ザ・サイケデリック・ファーズ〕のRichard Butler〔リチャード・バトラー〕がボウイッシュの最右翼なら、ABCのMartin Fry〔マーティン・フライ〕はフェリーッシュの最右翼だろう。
このアルバムで聴けるABCの音楽性もBryan Ferry~ROXY MUSIC〔ロキシー・ミュージック〕の先鋭的すぎる部分を大衆に理解し易いようにコンパイルしており、そのセンスは実に見事である。