このブログのタイトルは「ロックン・ロール・プリズナーの憂鬱」なのだが、実際にはロックン・ロール・バンドをあまり取り上げていない。
何故このような状態になったのかと言えば、取り上げたいロックン・ロール・バンドがあまりにもマイナーなため、ブログに記事を書いたところで、それを読んで興味を持ってくれた人が音源を入手しにくいということに気付いたからであり、「これはアカン」と思い、早々に方向転換を図ったわけである。
このブログではマイナーなロックン・ロール・バンドをいくつか取り上げてきたが、今回取り上げているSOHO ROSES〔ソーホー・ローゼズ〕はTHE LONDON COWBOYS〔ザ・ロンドン・カウボーイズ〕、JACOBITES 〔ジャコバイツ〕、THE CRYBABYS〔ザ・クライベイビーズ〕あたりよりも更にマイナーなバンドなのではないかと思う。
Wikipediaを見るとSOHO ROSES は1989年に1stアルバム(と言うよりも最初で最後のアルバム)「THE THIRD AND FINAL INSULT」をリリースしているので、彼らの登場した時期は、GUNS N' ROSES〔ガンズ・アンド・ローゼズ〕の登場により米国で盛り上がりを見せていたロックン・ロールのブームが英国にも派生していた時期と重なる。
この頃の英国ではTHE DOGS D'AMOUR〔ザ・ドッグス・ダムール〕、THE QUIREBOYS〔ザ・クワイアボーイズ〕、TIGERTAILZ〔タイガーテイルズ〕等が登場しているのだが、SOHO ROSESもその流れから登場したバンドである。
SOHO ROSESの奏でるロックン・ロールはTHE DOGS D'AMOURやTHE QUIREBOYSのようなブルージーなものでもなく、TIGERTAILZのようなポップ・メタル風のものでもなく、タテノリのパンキッシュなロックン・ロールだ。
SOHO ROSESの音を他のバンドを引き合いに出して説明するならBUZZCOCKS〔バズコックス〕をグラマラスにしたようなロックン・ロールであり、今回取り上げているコンピレーション・アルバム「WHATEVER HAPPENED TO... THE COMPLETE WORKS OF SOHO ROSES」でもBUZZCOCKS の"What Do I Get?"をカヴァーしている。
そして、このバンドのユニークなところはドラマーのPat ‘Panache’ Walters〔パット・ウォルタース〕が黒人ということだ。
こういうスリージーなロックン・ロール・バンドにいる黒人メンバーとして、今直ぐ他に思いつくのはTHE LONDON COWBOYSのギタリストBarry Jones〔バリー・ジョーンズ〕くらいである。
それにしても、こんなマイナーなバンドの音源が音楽配信サービス(Amazon Music Unlimited)で聴けるとは、良い時代になったものである。